研究課題/領域番号 |
21K03326
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
古場 一 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (80707729)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 数理モデリング / 数理解析 / 界面流 / 二相流 / 混相流 / 熱力学 / 非粘性流体 / 流体方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は、大気中を浮遊するシャボン玉、大気と海洋、氷の融解等の界面上の粒子の流れを考慮する必要がある現象において、二相の境界(界面)上の粒子がどのような支配のもとで流動しその流れがどのように変化していくかを数理的手法によって解き明かすことである。具体的には、エネルギー変分法を用いて界面流を伴う自然現象を記述する支配方程式を導出し、解析的手法(関数解析)と幾何的手法(リーマン幾何学、微分幾何学)を用いて支配方程式の(熱力学の観点からの)妥当性や方程式の解の存在や性質を調べ、界面流の性質を明らかにすることである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、大気中を浮遊するシャボン玉、大気や海洋の流れ、氷の融解等の界面流を伴う二相流の現象において、二相の境界(界面)上の粒子がどのような支配のもとで流動しその流れがどのように変化していくかを数理的手法によって解き明かすことである。具体的には、エネルギー変分法を用いて界面流を伴う自然現象を記述する方程式を導出すること、および、その方程式の解の存在性や性質を数学的に調べることである。
本年度は、熱力学的手法を用いて界面流を伴う粘性流体の流れを記述する支配方程式の導出(数理モデリング)の研究を行った。ある固定領域内で動く領域を考え、その動く領域の境界上(界面上)の粒子の動き、および、界面で分離された2つの動く領域内の粒子の動きの依存関係について熱力学的観点から調査を行った。手法として、界面内の流体を粘性圧縮性流体、2つの領域内の流体を粘性圧縮性流体とし熱力学第一法則を用いて支配方程式の導出を試みた。具体的には、領域内の流体粒子のもつ内部エネルギーおよび界面内の流体粒子のもつ内部エネルギー、形状変化にともなうそれぞれ(領域や曲面内)の流体の圧力による仕事に着目し、時間発展曲面や混相流まで理論拡張した熱力学第一法則を応用し、界面流を伴う粘性流体の流れを支配する方程式の導出を行った。全エネルギー保存則という条件から運動方程式を導き、界面流を伴う粘性二相流モデルの構築をおこなった。研究実績として、界面流を伴う粘性二相流方程式の導出に成功し、さらに、導出した混相流モデルに対する熱力学ポテンシャルの構造も解明できた。具体的には、領域や曲面内の流体に関するエンタルピー、エントロピー、ヘルムホルツの自由エネルギー、ギブスの自由エネルギー、熱力学第二法則の関係性が得られた。本年度は、圧縮性流体に限定し数理モデリングを行ったが、非圧縮性流体の場合を調べるために、さらなる研究が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由として、界面流を伴う粘性二相流方程式の導出に成功し、その混相流モデルに対する熱力学ポテンシャルの構造も解明できたことがいえる。これまで、界面と領域内の流体の熱に関する依存関係性が不明瞭であったが、混相流モデルまで適用できるように熱力学第一法則を理論拡張し、混相流モデルに対する熱力学ポテンシャルの関係性を解明できたことは大きい。今後は、非圧縮性モデル、相転移モデルや導出した方程式の解の存在性ついての研究も進むと思われ、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策として、非圧縮性界面流や相転移現象を伴う二相流の数理モデリングおよび導出に成功した混相流モデルの数理解析をすすめていく。具体的には、曲面上の変化を接方向に限定した場合の混相流の数理モデリング、相転移を考慮した二相流モデルの構築、熱や拡散のみに着目した方程式の数理解析を遂行していく。
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