研究課題/領域番号 |
21K03331
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
山岡 直人 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (90433789)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | Dynamic DSK モデル / 賃金方程式 / レプリケータ方程式 / 空間経済学 / 数値シミュレーション / 人口集中 / 差分方程式系 / カオス / 周期解 / 可視化 / 空間経済モデル / 時間遅れ / 振動性 / 安定性 / 人口移動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、都市間の人口移動を表す空間経済モデルを扱う。この数理モデルは、賃金密度と人口密度を未知関数とする賃金方程式とレプリケータ方程式から構成される非線形常微分積分方程式系である。この方程式系には、負冪の特異性や時間遅れがあるため、数理解析・数値解析において困難な点も多い。そこで、2階非線形常微分方程式の定性理論における解析手法を用いて、空間経済モデルの解の振動性や安定性における時間遅れの影響を解明する。
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研究実績の概要 |
経済学者の Paul Krugman が構築した Dynamic Dixit-Stiglitz-Krugman(DDSK)モデルは、空間経済学における数理モデルであり、時間経過とともに各地域の工業労働者の賃金と人口の変化を表すことができる。このモデルは、賃金方程式とレプリケータ方程式を組み合わせることで構成され、短期均衡と長期均衡の2つのタイプに関する研究がある。短期均衡については特定の時刻における賃金に焦点が当てられ、長期均衡については時間経過後の各地域の賃金と人口に着目する。短期均衡に関しては、Tabata and Eshima(2018)により、賃金方程式の一意解の存在が数学的に保証されているが、彼らの研究成果を基にした長期均衡の研究、すなわち、DDSK モデルの解の漸近挙動については、数学的な議論がほとんどされていない。そこで、本研究では、彼らの成果を踏まえ、DDSK モデルの解の漸近挙動に関する新たな数学的条件を与えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2つ以上の地域における DDSK モデルに対して、レプリケータ方程式の解表現を導入し、これを用いて、すべての労働者が1つの地域に集中するための十分条件を与えた。また、3つの地域が存在する状況を設定し、DDSK モデルのパラメータが労働者の人口集中にどのような影響を与えるかを数値シミュレーションにより検証した。これらの研究成果をまとめ、学術雑誌に投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、DDSK モデルの数学解析を行い、一つの地域にすべての工業労働人口が集中するための条件を与えることができた。研究過程でいくつかの新たな課題が明らかになったため、今後は次の(1)~(4)に焦点を当てて研究を進める。(1)空間における連続モデル(例えばレーストラックモデル)を扱い、工業労働者の人口集中条件を調べる。(2)2地域モデルで、農業労働者の割合を変化させたときに、工業労働者が複数の地域に集中する条件を与える。(3)2地域モデルにおいて、初期値に応じて、工業労働者が1つの地域に集中するか、複数の地域に集中するかを調べる。(4)時間における離散モデルと連続モデルの双方において、一つの地域に工業労働者が集中する条件が得られたので、Time Scale の理論を導入し、これらのモデルを統一的に扱う。
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