研究課題/領域番号 |
21K03332
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
桐木 紳 東海大学, 理学部, 教授 (50277232)
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研究分担者 |
相馬 輝彦 早稲田大学, 産業経営研究所, その他(招聘研究員) (50154688)
中野 雄史 東海大学, 理学部, 准教授 (50778313)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ブレンダー馬蹄 / ヒストリック挙動 / ディラック物理測度 / ホモクリニック接触 / Takensの最終問題 / 力学系 / 非双曲性 / ヒストリー性 / 遊走領域 |
研究開始時の研究の概要 |
「Takensの最終問題」に対し,高次元ゆえの自由度を用いて一般的な解を与える.研究代表者は既にホモクリニック接触をもつ 2 次元非双曲的力学系の近くに非自明遊走集合をもつ力学系が局所稠密に存在し,その遊走集合の軌道がヒストリー性を持つことを明らかにした.しかしこの性質の局所稠密に勝る一般性である摂動に対する頑強さの研究は,2次元力学系において難航を極め未だに解決していない(もしかしたら 2 次元力学系のヒストリー性は頑強でないのかもしれない).本研究では,Bonatti-Diazが提唱したブレンダー馬蹄とそのホモクリニック接触を用いてヒストリー性をもつ力学系の存在を確かめる.
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研究実績の概要 |
本研究課題では、3次元アフィン写像でブレンダー馬蹄をもち、さらにそのブレンダー馬蹄のサ ドル周期点に関するホモクリニック接触をおこすような例を考える。その例の任意に小さなCr近傍において本研究課題で着目している性質であるヒストリック挙動やディ ラック物理測度を有することを調査し、証明することに成功した。この成果を国際研究集会の招待講演と国内 の研究集会にて一般講演をおこなった。 さらにこの論文を国際ジャーナルに投稿し、査読結果が返ってきた。いくつかの修正要求があったが肯定的なものであった。そこでレフェリーの修正要求に応えた修正版を提出した。 この研究の内容を説明する。ブレンダーとは3次元以上の力学系の概念である。具体的には双曲的不変集合なのだが、その不変集合の不変多様体がある開領域で稠密になる。例えば2次元の馬蹄は不変集合だが、このような性質はもたない。一方、この馬蹄を含む2次元空間とは独立に1次元考え、その方向に弱い作用をもつような3次元写像を考えれば3次元馬蹄が得られる。さらにこの付け加えた次元方向に僅かな歪みを与えるとブレンダーの特性である「不変多様体がある開領域で稠密に埋め尽くす」現象が起こる。この性質自体、微小な摂動に耐えうるロバストな性質であるから、3次元以上の力学系では一般的なものである。 このブレンダー馬蹄は、2次元馬蹄と同様それだけではヒストリック挙動やディラック物理測度などの多様な性質はもっていない。それが双曲性力学系の限界だと考えられている。一方、この双曲性という枠組みを超えていけば、多様な性質が発生すると我々は考えている。そこで、このブレンダー馬蹄を保ったまま、そのサドル周期点に関するホモクリニック接触を起こすような写像を考える。ホモクリニック接触をもてば非双曲的になり、その非双曲性を活かすところが本研究の独自性である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で記述したarXivに公開した論文を投稿した。それに対してレフェリーたちから修正要求があったので修正した原稿を提出した。現在、その審査待ちである。またこの結果に留まらずこれら諸性質を含む新たな概念「力学的多能性」または「統計的普遍性」を提唱し、新たな研究分野の創設することが本研究の最終的目標である。
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今後の研究の推進方策 |
まず研究実績の概要で記述したarXivに公開した論文をジャーナルから出版することが優先である。さらに海外から新たな共同研究者を加え、研究実績の概要で 記述した例をより一般的なクラスに拡張したいと考えている。 本研究はブラジルのEdson Vargas氏が2000年に発表した論文が発端となっている。2022年9月から2023年3月までそのVargas氏を招聘研究者として東海大学に招いて共同研究を行った。そこで今年度は私がブラジルに渡航し、Vargas氏と共同研究を完成させる予定である。またフランスのSylvain Crovisier氏 も加わることになった。
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