研究課題/領域番号 |
21K03333
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 大同大学 |
研究代表者 |
岡 康之 大同大学, 教養部, 准教授 (70625079)
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研究分担者 |
平山 浩之 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (90748328)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | stratified Lie 群 / 半線形熱方程式 / 初期値問題 / 時間大域解 / 小さな初期値 / ソボレフ空間 / 一意存在性 / 非線形熱方程式 / 非線形発展方程式 / 局所可解性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、非線形発展方程式の持つ Lie 群構造とその可解性にはどのような関係があるのかを解明することである。本研究で対象とする Lie 群は連結かつ単連結ベキ零 Lie 群の典型例である stratified Lie 群を設定し、それに付随する変数係数を持つ非線形熱方程式と非線形シュレーディンガー方程式の初期値問題を考察する。stratified Lie 群上のソボレフ空間に初期値を持つそれぞれの解が時間局所的に一意存在するための条件を解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題はstratified Lie 群(以下SLG)の性質が偏微分方程式の解の性質に対し、どのように関係しているのかを解明することを目的にしている。 研究期間初年度に得られた結果は、SLGに付随する非線形熱方程式の初期値問題に対するソボレフの尺度劣臨界の空間における解の一意存在性に関する結果であり、ユークリッド空間におけるRiabudの結果をSLGへ拡張するものであった。その結果を考察すると、SLGの特性の1つである伸縮変換(dilation)に関する非等方性の情報は等質次元の中に組み込まれ、ソボレフの尺度臨界指数として現れていた。そのため、尺度臨界におけるユークリッド空間上の結果もSLG上へ一般化可能ではないかと予想された。 そこで本研究期間の2年目はSLGに付随する非線形熱方程式の初期値問題に対して、ソボレフの尺度臨界な空間における解の一意存在性の解明を試みた。その結果として、尺度臨界指数が正かつ2以下の場合に、尺度臨界空間における十分小さな初期値に対し、時間大域的可解性を得ることが出来た。空間の条件である正かつ2以下の場合の尺度臨界空間における尺度臨界な空間においては、ソボレフの埋め込み定理を用いてルベーグ空間における尺度臨界な空間で議論が可能になる。そのため、劣臨界(研究初年度)における非線形項の評価の際に生じた、SLGが内在する非可換性に起因した難しさは現れず、ユークリッド空間のときと同様にSLGでも大域解の一意存在を示すことができた。この結果はユークリッド空間におけるRiboudの結果のSLGへの一般化になっている。この結果をまとめた論文を査読付き雑誌に投稿済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度に得られたSLGに付随する非線形熱方程式の初期値問題の解の一意性に関する結果は、尺度劣臨界なソボレフ空間に対するものであった。その結果を考察すると、SLGの顕著な性質の1つである伸縮変換に関する非等方性は、等質次元に吸収され尺度臨界指数として表れていたため、ユークリッド空間のときと同様な結果が他にも得られるのではないかと予想された。 研究2年目に得られた結果は、これらの予想を裏付ける1つの結果になっており、SLGの性質が偏微分方程式の解の性質に対して、どのように関係しているかを解明している。これは、本研究課題の主題に対する部分的な解となっていることから、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究期間の3年目は、初年度から非線形熱方程式と並行して研究してきた、SLGに付随するサブラプラシアンによって構成される非線形シュレーディンガー方程式の初期値問題の時間局所可解性を解明する。その過程で、SLGの性質がその解の性質にどのように反映されていくのか、熱の場合との違いに焦点をあて考察を行いたい。
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