研究課題/領域番号 |
21K03338
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12030:数学基礎関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
酒井 拓史 神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (70468239)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 反映原理 / 無限グラフ / 巨大基数 / 基数算術 / 強制法公理 / 公理的集合論 |
研究開始時の研究の概要 |
アレフ1やアレフ2などの小さな非可算基数が,最小の無限基数(可算基数)アレフ0にどの程度類似の性質を持ちうるかは,集合論で古くから研究されてきた.アレフ0では様々な反映原理が成り立つが,小さな非可算基数で反映原理がどの程度成り立ち得るかという研究は,上記の研究の重要なものの一つである. 無限グラフに目を向けると,集合論の観点だけからは見えてこない,様々な反映原理が自然に考えられる.本研究では,非可算グラフの彩色についての様々な反映原理に着目し.これらの無矛盾性や帰結および相互関係を研究することで,小さな非可算基数がアレフ0にどの程度類似の性質を持ち得るかという問題に新たな進展をもたらす.
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研究実績の概要 |
2023年度は主に Rado Conjecture の高濃度への一般化が基数算術に及ぼす影響について研究をした.オリジナルの Rado Conjecture はグラフ彩色についてのアレフ2での反映原理で,2のアレフ0乗がアレフ2以下になることや,特異基数仮説を帰結することが知られていた.本研究で,Rado Conjecture のアレフn(n>2)への一般化が,どのような自然数 m に対しても,2のアレフm乗について何の帰結ももたらさないことと,特異基数仮説を導かないことが明らかになった.もう少し一般に,基数κの後続基数κ+への Rado Conjecture の一般化について,次の (1) と (2) が明らかになった. (1) κか共終数アレフ0の特異基数であるときは,2のアレフ0乗がκ+以下になることと,κより大きな特異基数における特異基数仮説を導くが,どのような不可算正則基数λに対しても,2のλ乗には何の帰結も持たない. (2) κが共終数アレフ0の特異基数でないときは,どのような正則基数λに対しても2のλ乗に何の帰結も持たず,またκより大きい基数での特異基数仮説も導かない. これらの研究成果については国内外の研究集会で発表し,また現在論文を執筆中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度までに,定常性反映原理と Rado Conjecture の高濃度への一般化が基数算術に及ぼす影響をほぼ完全に明らかにすることができ,これらの結果は国内外の研究集会で発表している.また,定常性反映原理の一般化については論文を投稿して好意的なレポートが返ってきており,Rado Conjecture の一般化については現在論文を執筆中である.これらの成果については研究は順調に進んでいると言える. 一方で,Rado Conjecture 以外のグラフ彩色についての反映原理の無矛盾性や帰結については,当初の予定より研究が少し遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,Rado Conjecture 以外のグラフ彩色についての反映原理について集中して考察する.まず,グラフ彩色の反映原理を様々なグラフクラスに制限したものの無矛盾性とそれらの帰結について考察する.特に,半順序集合の比較不能グラフに制限した Galvin Conjecture の無矛盾性を最新の強制法の手法を用いて調べる.また,アレフ3の反映原理で,2のアレフ1乗に制限を与えるようなものを探る.
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