研究課題/領域番号 |
21K03343
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12030:数学基礎関連
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研究機関 | 大和大学 |
研究代表者 |
谷口 浩朗 大和大学, 教育学部, 教授 (60370037)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | APN関数 / D-property / 有限体上の関数 / Dillon's observation / DHO / 有限幾何 |
研究開始時の研究の概要 |
現在使用されている対称暗号には解読法が考案されており,その解読法に耐性を持つ設計のため非線形性の非常に大きい関数(APN関数)の研究が活発に行われている。現在のところAPN関数は定義域・値域とも同じ場合に限って研究されているが,応用上は定義域と値域の次元が異なる場合の研究も必要である。筆者は定義域と値域が同じ次元のAPN関数に帰着されない,しかも関連するグラフが連結であるAPN関数の存在をコンピュータによる予備実験で観察することが出来た。当該研究において今まで研究されていなかった「値域Wの次元を決して下げることの出来ないAPN関数(Wに本質的に生息するAPN関数)」について研究を行っていく。
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研究実績の概要 |
今年度は主に, F(x)+Tr(x)L(x)型であるが, 2次的とは限らないAPN関数を研究しさまざまの結果を得た。ここにF(x)はAPN関数,Tr(x)は素体へのTrace関数, L(x)は任意の関数とする。例えばF(x)=x^3とし,L(x)を適当な線形関数とすると,有限体GF(2^6)においてはすべての2次的なAPN関数はx^3+Tr(x)L(x)とあらわされるAPN関数に同値であることを確かめることができた(この結果について日本数学会年会で発表を行った)。また,F(x)を2次的なAPN関数でL(x)を線形関数とするとき,F(x)+Tr(x)L(x)がまた2次的なAPN関数であるためのL(x)が満たすべき必要十分条件を得ることができた。さらにF(x)=x^3で,L(x)が必ずしも線形でない関数とするとき,x^3+Tr(x)L(x)がAPN関数であるためにL(x)が満たすべき必要十分条件を得ることができた。また関数F(x)=x^3+Tr(x)xの場合に(つまりL(x)=xの場合に)3以上のnに対して有限体GF(2^n)上においてはF(x)はAPN関数にはなりえないことを確かめた。さらに有限体GF(2^n)上のAPN関数F(x)をn-2次元部分空間上で「ある特別な形」に変形した関数が,またAPN関数であるための必要十分条件を与え,その結果を用いてGF(2^8)上で具体的なAPN関数の例をいくつか構成できた。 それらに加えて「Edel-PottによるAPN関数のswitchingによる変形」にD-propertyの考えを適用することにより「4差分型(differentially 4-uniform)の関数」をswitchingでAPN関数にできることも見出した。現在これらの研究をさらに発展させ,論文にまとめようと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は主にF(x)+Tr(x)L(x)型のAPN関数について研究を進め多くの結果を得ることができた。その反面,APN関数の幾何学的な側面(semi-biplaneやCayley graph)の研究に時間を十分割くことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は今年度の研究(研究実績の欄を参照)を進展させることに加えて,APN関数の幾何学的な視点(semi-biplaneやCayley graph)からの研究を推進しようと考えている。とくにgraphの被覆(covering)とAPN関数のCCZ同値との関係を探求し,その結果を用いてD-propertyがCCZ同値で保たれるのかどうか,などを探求していきたい。
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