研究課題/領域番号 |
21K03353
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
出原 浩史 宮崎大学, 工学部, 准教授 (50515096)
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研究分担者 |
松岡 常吉 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90633040)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 燃焼 / パターン形成 / 進行波解 / 反応拡散系 / 不安定化 / 数理モデル |
研究開始時の研究の概要 |
火災の初期段階で見られる低温状態でくすぶり続けるくん焼は、不安定な燃焼状態であるため、実験も難しく理解は十分には進んでいないのが現状である。近年、画期的な実験装置が考案され、安定した実験データを収集することができるようになってきた。本研究では、くん焼の複雑な振る舞いがなぜ現れるのかというそのメカニズムを理論的に解明することを目指す。くん焼のダイナミクスを記述する数理モデルの構築と、そのモデルの理論解析を通して、複雑燃焼が生じる起源を探索する。
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研究実績の概要 |
本研究では、くん焼の複雑な振る舞いがなぜ現れるのかというそのメカニズムを理論的に解明することが大きな目的である。そのために、くん焼のダイナミクスを記述する数理モデルの構築と、そのモデルの理論解析を通して、複雑燃焼が生じる起源を探索する。 3年目の本年度は、引き続き矩形領域で現れる複雑燃焼に着目し、数理モデルの解析を行なった。狭い領域で紙を燃やす実験では、酸素の供給速度に応じてくん焼の振る舞いが異なることが報告されている。酸素の供給速度が速いときには一様な燃焼を見せ、酸素の供給速度を落としていくと複雑な燃焼が見られるようになる。このことから、数理モデルを用いて、酸素の供給速度に対応するパラメータを変化させることで、一様平面進行波解の不安定化としてパターンの源泉を捉える研究を行なった。これまで簡単化した数理モデルで不安定化を考えていたが、本年度では燃焼の3成分反応拡散モデルに対してこの解析ができるように発展させた。この研究を遂行するにあたり、数値解をより精度高く求める必要があることが分かったため、その計算も併せて実施した。このような一様平面進行波解の不安定化は燃焼に限らず様々な現象を表す数理モデルで見られる。そのような数理モデルへ本研究を応用し発展させることができると考えている。 また、数理モデルの数値計算で観察されている燃焼の反射現象について、共同研究者と打ち合わせを行ない、今後の方向性を確認した。今後はこの方向でも研究を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要でも述べたが、一様平面進行波解の不安定化としてパターンの源泉を捉える研究を集中的に行なった。これは、一様平面進行波解まわりで方程式を線形化し、その線形方程式の固有値を調べることに対応している。しかしながら、解析的に固有値を求めることは不可能なので、Matlabを用いて数値的に計算した。結果としては、不安定化を起こす固有値には2つのケースが存在することが示唆された。これまで予想していた実固有値だけでなく、複素固有値も現れ、その両方が不安定化に寄与していることが分かった。現在、こちらについては論文としてまとめている途中である。
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今後の研究の推進方策 |
一様平面進行波解の不安定化に着目して研究を行なってきた。特に、対向流燃焼と呼ばれる酸素の流れと燃焼の向きが異なる場合について研究を行なった。しかし、並行流燃焼と呼ばれる酸素の流れと燃焼の向きが同じ場合についても様々な燃焼パターンが見られることが報告されている。こちらの場合の不安定化についても研究を行なっていく。 一方で、燃焼のモデルとしてKuramoto-Sivashinsky方程式がよく知られている。Kuramoto-Sivashinsky方程式は燃焼波面のプロファイルを記述する方程式として知られているが、この方程式はある種の反応拡散系から接合漸近展開を用いて、ある種の条件のもとで導出されている。このある種の条件が非常に大きな制約になっている。今後の研究の推進として、今年度得られた知見をもとに、Kuramoto-Sivashinsky方程式とその元の反応拡散系との間の関係性について、ある種の条件がどの程度影響を及ぼしているのかについて研究を進めていきたい。
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