研究課題/領域番号 |
21K03355
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
安田 和弘 法政大学, 理工学部, 准教授 (80509638)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | マートン問題 / PIA / 確率制御問題 / ファクターモデル / 最適消費・投資問題 / ベキ型効用 / 最適投資・消費問題 / Merton問題 / 確率制御 / 数値解析 |
研究開始時の研究の概要 |
マートン問題という数理ファイナンスにおける重要な問題を扱う。マートン問題とは、定められた満期までの消費と満期における富の効用(満足度)の期待値を最大とする消費の仕方や株式市場での取引戦略を考える実社会と関連付いた現実的な問題である。この問題に対して想定する株価モデルが簡単なときその最適戦略が具体的に知られているが、株価モデルを複雑にすると最適戦略を得るために数値計算を行ってやる必要がある。本研究課題では、その数値計算手法の確立とその数値計算精度に関する理論的背景を与える。
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研究実績の概要 |
前年度に得られた株価にファクターモデルを想定した下でのベキ型効用をもつ投資家に対する最適消費・投資問題のpolicy improvement algorithm (PIA)を用いた数値計算法に関して,新たな方法を考察した.前年度の方法は,各イテレーションで現れる偏微分方程式に対して有限差分法を用いて近似し,各方程式に対する数値解を得るという基本的な方法であった.しかし,この方法を用いるのであるなら,PIAを用いず,元々の問題の偏微分方程式(ハミルトン-ヤコビ-ベルマン方程式,HJB方程式)に対して同様の方法を用いれば良い.そのため,前年度の方法は数値計算の観点からは十分,有効な計算方法ということは言えない.そのためPIA固有の新たな数値計算法を考察・提案することが必要である.本年度提案した計算方法は,上記問題のPIAでの収束を証明した際に現れる漸化式的なファインマン-カッツ表現に対するモンテカルロ法を適用する方法である.ファインマン-カッツ表現を用いるため,ある確率微分方程式の解を用いて対応する偏微分方程式の解を期待値の形で表現することとなり,そのためモンテカルロ法が適用できるようになる.この表現はPIAを用いたときのアルゴリズムに現れる固有の表現であるため,PIAを用いないときは適用することができない方法である.ただし,多くのグリッドでモンテカルロ法を実施する必要があるため,安定性の問題や計算コストが高くなってしまう問題点も含んでいる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
収束およびその速さに関する理論的な部分は前年度に証明できており,本年度はその数値計算法に関して新たな方法の考察・提案ができたため.
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今後の研究の推進方策 |
本年度提案した新たな数値計算方法の精度検証や精緻化を行う必要がある.また,その他の数値計算方法の構築やそれらの比較等を行っていく必要がある.
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