研究課題/領域番号 |
21K03357
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
若野 友一郎 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (10376551)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | マルコフ過程 / 集団遺伝学 / 拡散過程 / マルコフ連鎖 / 確率的揺らぎ |
研究開始時の研究の概要 |
遺伝のみならず、考古学・民族史学研究においても定量的データが発表されるようになりつつある。しかしDNAの遺伝と、文化の継承は、異なる部分も多く、集団遺伝学で発展してきた数学的手法だけでは限界がある。文化進化に特異的な特徴をとらえたマルコフ過程モデルを構築し、その拡散近似などの数学的手法を用いて、これらの新しいタイプのデータの本格的な数理解析を行う。
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研究実績の概要 |
最新の考古学・民族史学研究では、定量的データの記載が進みつつあり、集団遺伝学で発展した解析手法を援用する形で、解析が行われるようになりつつある。一方で、文化進化は遺伝進化にはない特徴を持ち、その結果、集団遺伝学で整備されてきた木村の拡散方程式などの手法が、直接は適用できない部分がある。例えば、DNAは突然変異によって塩基対が変化することはあるが、消失することはまれである。しかし文化は、継承の失敗によって消失することが多い。その結果、固定状態と絶滅状態が、文化進化のモデルにおいては非対称となり、例えば標準的な集団遺伝学で計算される固定時間の概念などが、文化進化モデルでは存在しなくなる。 本年度は、文化進化の数理モデルについて、特に、集団遺伝学におけるAncestral Selection Graphの手法の文化進化理論への適応と新たな数学的展開について、Ellen Baake教授と共同研究を継続中である。また、上部旧石器時代において東アジアでヒト集団が分断された状態で過ごした原因として、北回りルートと南回りルートに起因する伝染病への抵抗性を理由として提唱した数理モデル研究論文1報を発表した。また、考古学分野での共同研究論文1報を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進化生物学の確率論的な解析を行うグループと共同研究が始まり、新しい数学的手法を組み合わせることで進展のめどがたった。
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今後の研究の推進方策 |
Ancestral Selection Graphの手法、とくにその最新の知見(集合上を走る前向きおよび後ろ向き過程など)を取り入れ、各文化要素の継承と個体の絶滅が完全に独立な場合の各種モーメントや、これらが独立ではない場合の解析手法の開発を行う。
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