研究課題/領域番号 |
21K03359
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
渡邊 芳英 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (50127742)
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研究分担者 |
渡邉 扇之介 福知山公立大学, 情報学部, 准教授 (80735316)
西田 優樹 東京理科大学, 工学部情報工学科, 助教 (70906601)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 加重平均型3状態3近傍ファジーCA / 交代法 / 代数的固有ベクトル / 優対角行列 / 上三角化 / 加重平均型3値3近傍ファジーCA / 対称群作用 / 時間的空間的周期性 / 2値4近傍CA / メタ安定分岐現象 / 完全1次保存ファジーCA / CAの時間的空間的な周期性 / 交通流モデル / セルオートマトン / ファジー化 / 多項式表現 / 保存量 / ダイナミクス |
研究開始時の研究の概要 |
(1)シミュレーションにより特徴的な漸近挙動をもつ3状態3近傍CAを選び出し,そのようなCAの局所遷移関数の有理多項式表現を用いて漸近挙動の理論解析を行う.そのためにはまずファジー化した3状態3近傍CAの漸近挙動の理論解析を行い,それがもとのCAの挙動にどのように反映されるかを調べる. (2)ファジー化された3状態3近傍CAのなかで,一般加重平均型と呼ばれるCAに注目し,その漸近挙動を理論的に解析する. (1)と(2)で取り上げた3状態3近傍CAにおいて高次保存則の存在を調べ,高次保存則が漸近挙動に果たす役割を検証する.また高次保存則を用いてメタ安定分岐などの理論的解明を図る.
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研究実績の概要 |
これまでの研究において,3状態3近傍ファジーセルオートマトン(FCA)のなかで加重平均型と呼ばれるものを一般的な形で定義した.我々は加重平均型3値3近傍FCAがすべて漸近的にある周期的パターンに収束することを示した.さらに,これらの周期的なパターンは3次対称群の作用と関わることを明らかにした.この結果を国際会議Automata2023において発表した.さらに我々はこの研究を進めて,状態数が3以上の任意個数であるFCAに対しても,加重平均型と呼ばれるものを定義し,その収束性を調べた.結果として状態数が任意個数の場合でも加重平均型のFCAは漸近的にある周期的パターンに収束することを示した.その際一般次数の対称群の構造が3次対称群より複雑になることにより収束先の周期パターンも複雑になるが,一方で次数が一般化されていることにより,対称群のどのような構造がどのような収束パターンを作るかについての詳細な情報が得ることができた.この結果はAutomata2023のSpecial Issue に投稿されている. そのほかに,マックスプラス線形代数において以下のような成果を得た. (1)マックスプラス行列により定義される両側線形方程式系の一つの解を求めるアルゴリズムである交代法について考察し,交代法により方程式系のすべての解を求めることができるための一つの十分条件を与えた. (2)交通流モデル等に現れる優対角と呼ばれる特別な行列に対して,代数的固有ベクトルを用いた上三角化について議論を行った. (3)マックスプラス行列の代数的固有値に付随する対する代数的固有ベクトル対し,相異なる代数的固有に付随する代数的固有ベクトルは独立であること,また行列が対称なら異なる代数的固有値に付随する代数的ベクトルはトロピカル幾何学の意味で直交することを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の理論的な側面は概ね順調に進展している.しかしファジーCAの応用については現在のところ全く進展がない.その理由としては我々の研究グループがどちらかといえば理論家の集団であり,CA応用に詳しくない.その一方でファジーCAの研究自体がセルオートマトンの世界にようやく知られ始めた状況で,だれもが知っているという状況にはない.以後はもう少しCAの応用に携わる研究者との交流が必要であると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
(1)計算機シミュレーションによると,3状態3近傍FCAのなかで加重平均型ではないにも関わらず,漸近的にある周期パターンに収束する例がある.このようなものをもう少し詳しく調べて理論的に解析する必要がある. (2)状態数が一般のFCAの場合その収束先である周期的なパターンの構造は状態数次数の対称群の構造と深く結びついていることが予想されている.このことをもう少し組織的に調べることは大切な課題となる. (3)現状では,ファジーCAの応用はほとんど見つかっていない.例えば交通量モデルとして使われるCAをファジー化したとき,それは交通流モデルとしてどのような意味があるかといった問題も考えてみたいと考えている.
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