研究課題/領域番号 |
21K03364
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中野 張 東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (00452409)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | シュレディンガー問題 / 確率制御 / 確率微分方程式 / 深層学習 / 確率偏微分方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
初期分布と終端分布が固定されたブラウン粒子の中で最も起こりやすい時間発展を求める問題はシュレディンガー問題と呼ばれ,機械学習分野との関連等から近年再注目されている.シュレディンガー問題は多数の有望な応用を持つが,現実的な実装のためには既存の数値解法では不十分である.本研究では空間次元が高い場合かつ所与の周辺分布が経験分布の場合にも適用可能なシュレディンガー問題の数値解法の開発とその収束を厳密に証明することを目的とする.
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研究実績の概要 |
本研究課題では,シュレディンガー問題と呼ばれる,初期分布と終端分布が固定されたブラウン粒子の中で最も起こりやすい時間発展を求める問題の数値解法について研究している.本年度の研究では,一般の拡散過程の分布法則を事前分布として採用した場合のシュレディンガー問題について,シュレディンガー・システムと呼ばれる連立偏微分方程式を用いずに近似解を求めるアルゴリズムを導出した.
既存の数値解法では,シュレディンガー・システムを数値的に解いた後,h-path過程と呼ばれる確率微分方程式を構成する必要があった.この方法では初期分布と終端分布の両方の密度関数の情報を必要とし,さらにその積分も計算する必要があるため,応用例は限定的になってしまうという問題点があった,提案手法はシュレディンガー・システムを直接利用しない解法であり,経験分布の情報のみが必要で,さらに,事前分布である拡散過程の推移確率の情報も必要ないため,広範囲の応用が期待できる.特に,最近の画像生成に用いられる拡散モデルでは,シュレディンガー問題から派生して生まれた逆拡散過程の理論が使われており,本研究の提案手法を画像生成問題へ応用させることを検討中である.
現在は,これまで得られた理論的成果のまとめ,近似解の収束の数学的証明,応用例の選定,および数値実験の準備を行なっている.これらの成果のまとめを今年度行われる複数の国際学会にて発表する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に当初の研究計画とは異なる方針を採用することになり,確かな研究成果を出すのに若干遠回りをしたが,本年度に方針が確立できたと考えているため.
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今後の研究の推進方策 |
本研究成果の有用性を数値実験や実際の応用により確かめる.
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