研究課題/領域番号 |
21K03365
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
二宮 祥一 東京工業大学, 理学院, 教授 (70313377)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 確率論 / 数理ファイナンス / 確率微分方程式 / 弱近似 / 確率数値解析 / xVA / 前進後退型確率微分方程式 / 高次弱近似 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は2007-2008 年に全世界を襲った世界金融危機(所謂リーマンショック) の後の金融市場における資産価格モデルおよびXVA と呼ばれる一群のリスク指標の高速な計算手法の開発である. (1) 確率的ボラティリティを持つ短期金利モデル, および(2) XVA の計算の為の前進後退型確率微分方程式(FBSDE), の二つの弱近似計算問題を高次弱近似手法と離散近似測度の構成によって行う.
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研究実績の概要 |
2023年度には以下の二つの顕著な結果を得た。 (A) 確率微分方程式の高次離散化アルゴリズムに基づく、新しい深層学習機械アーキテクチャの発明を行ない、それをアメリカ型オプションのヘッジ戦略を求める問題に適用し、非常に有用であることを確認した。従来の深層学習機械の標準的なアーキテクチャであるResNetを用いた場合に比較して、1/32の層でこれをはるかに上まわる学習速度を達成することが確認された。これはまだ最初期の段階であり、調整作業を行なえば、さらにその差が広がるものと考えられる。 (B) 再結合測度法を実際の金融派生商品の価格計算に適用し、実際に有用である確認した。 この結果に基づき、再結合測度法を適用する為に必須である端布集合の構成方法とその理論的根拠となる評価式を得た。この評価式に基づいて端布集合への分割を行なう高速のアルゴリズムを構築し、それを用いて金融派生商品の価格計算を行なったところ、実用的な要求を越える精度の高い近似を実現するような有限測度の構成が可能であることがわかった。これは現在の状況でもすぐに実用に用いることが可能なアルゴリズムができていることを意味する。 この二つの成果は共に、報告者が過去に発見した、確率微分方程式の高次離散化手法に拠っており、それを二つの全く異なった新しい発明に繋げたものである。 (A) については、2023年度国際応用数理学会(ICIAM2023)および ``2024 Conference on Modern Topics in Stochastic Analysis and Applications (in honour of Terry Lyons’ 70th birthday)''への招待講演で報告を行なった。(B)についても2023年度国際応用数理学会(ICIAM2023)において報告を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
確率微分方程式の高次離散化手法に基づく新規の深層学習機械アーキテクチャと、再結合測度法による効率的な有限測度の構成方法の二つの発見はそれぞれ独立した成果であるが、この二つを組み合わせた更に新しい深層学習機械のアーキテクチャの可能性が見えてきた。これは以前は予想していなかった新しい成果である。
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今後の研究の推進方策 |
確率微分方程式の高次離散化手法に基づく新規の深層学習機械アーキテクチャと、再結合測度法による効率的な有限測度の構成方法の二つの発見はともに、国際会議で報告し予想以上の反応を得た。どちらに対しても、早期の論文化を求めるものが多かったので、それを優先して進めることにしたい。
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