研究課題/領域番号 |
21K03368
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中村 健一 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (40293120)
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研究分担者 |
矢崎 成俊 明治大学, 理工学部, 専任教授 (00323874)
中村 俊子 (荻原俊子) 城西大学, 理学部, 教授 (70316678)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | メタ群集モデル / 競争系 / 界面運動 / 進行波 / 比較定理 / 侵入可能性 |
研究開始時の研究の概要 |
侵略的外来生物種の侵入・定着の防止,生物多様性の保全および生態系の保護への有効な方策を探究することを目的として,生物個体群の局所的な集まり(局所群集) が隣接する生息地間を移動分散することで起こる相互作用を記述するメタ群集モデルの数理的手法と数値的手法を相補的に用いて解析を行う. また,感染症についても同じ宿主をめぐって競合する近縁ウィルスの出現により在来型ウィルスが消滅する交代現象が知られており,メタ群集モデルを用いた解釈および解析の可能性を探究する.
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研究実績の概要 |
侵略的外来生物種の侵入・定着による在来生物種絶滅の防止ならびに生物多様性の保全や生態系の保護への対策を探求するために,研究分担者および研究協力者との協働により数理解析と数値解析を相補的に用いて,生物群の局所的な集まりである局所群集の移動分散により生じる相互作用を記述するメタ群集モデルの解析を行った.具体的には,以下の結果を得た. (1)ニッチ(生態学的地位)の重なりが大きい2種類の生物種の競争を記述するロトカ・ヴォルテラ2種競争拡散系に現れる双安定型進行フロント波の速度の符号について考察し,変分的手法を用いた速度の評価により,これまでに知られていた結果には含まれないパラメータ領域において,フロント波の速度が決定できることを明らかにした.さらに,既存の結果と組み合わせることで,2生物種の競争係数間に大きな差がある場合,拡散係数や純増殖率の比をどのように変えたとしても,進行フロント波の速度の符号が定まってしまうことを示した.これは,在来生物種が生息する環境に競争力が強い侵略的外来種が侵入した場合に,その侵入を人為的にコントロールして制御することが困難であることを示した結果であり,生態学的研究としても意義のあるものである.. (2)メタ群集モデルに現れる界面運動の数値的追跡のために,移動境界問題に対する基本解近似解法に関する研究を行い,分点の一様配置法と組み合わせて安定な数値スキームを構築した. (3)比較定理が成り立つ体積保存型反応拡散系の平衡解や時間周期解の存在および安定性の証明に適用可能な順序保存力学系の一般論を構築し,さまざまな数理モデルに応用して解の漸近挙動を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2生物種のニッチの重なりが大きい強競争条件下におけるロトカ・ヴォルテラ2種競争拡散系に現れる双安定進行フロント波について,比較関数の構成法を改良することにより,伝播速度の符号を決定できるパラメータの範囲を拡張した.それにより,2生物種の競争係数間に大きな差がある場合,拡散係数や純増殖率の比をどのように変えたとしても,進行フロント波の速度の符号が定まってしまい優越種の侵入を防ぐことができないことを明らかにした.この結果はこれまでに知られていないものであり,数理生態学の研究者からも評価された.
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今後の研究の推進方策 |
これまでは社会情勢により,研究分担者との研究打ち合わせを対面で行うことが困難となっていたが,今後は対面での打ち合わせを密に行いつつ,必要に応じてオンラインでの打ち合わせも併用して,以下のように研究を推進する. (1)生物種が資源をめぐって競合関係にあるロトカ・ヴォルテラ型競争拡散系については, 研究代表者の中村と研究分担者の荻原が研究協力者と協力して,昨年度に得られた進行波の伝播速度に関する結果を格子状環境における離散モデルへ拡張し,速度のパラメータに関する依存性を精密に評価し,特に速度の符号を決定できるためのパラメータの条件を探索する.. (2)メタ群集モデルに関する数値的な研究については,引き続き研究分担者の矢崎と協力して,複雑な挙動をする界面を長時間にわたって精度良く追跡できるような数値スキームを開発し,その有効性を実際のモデルを通じて評価する.
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