研究課題/領域番号 |
21K03375
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
佐藤 洋祐 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 教授 (50257820)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | パラメーター / Border basis / CGS / 代数制約式 / アルゴリズム |
研究開始時の研究の概要 |
MathematicaやMaple等の数式処理システムでは、代数方程式の記号処理が重要な役割を果たす。 一般の数式処理システムでは、代数方程式を構成する多項式が生成するイデアルのグレブナー基底計算に基づいた処理が実装されている。 代数方程式がパラメーターを含む場合は数値による近似計算が不可能であるため、この方法による記号処理は特に有効である。 本研究では、パラメーターを含む代数制約式を扱う上での理論を整備し、それに基づいて効率的なアルゴリズムを構築することを目的とする。 本研究の目的が達成されれば、数式処理による記号計算の工学や教育等への適用可能範囲が格段に広がることになる。
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研究実績の概要 |
本研究では、効率的な Parametric Border Basisの計算アルゴリズムを構築することを第一の目標としている。その際、分割部の個数を最小限に抑え、かつシンプルになるようなCGS(Comprehensive Groebner Basis)を計算するアルゴリズムの開発が重要になる。2023年度は、2022年度までに開発した分割部を構成するパラメーターの非等式に着目したCGSの計算アルゴリズムを利用したParametric Border Basisの計算アルゴリズムを開発した。具体的には、非等式を構成する多項式がなすイデアルによる飽和イデアルの根基を計算することで、従来のアルゴリズムで計算されるParametric Border Basisよりも遥かにシンプルでかつ分割部の個数が少ないParametric Border Basisが得られることを理論的に保証する定理をいくつか証明した。 これらの定理に基づいてのParametric Border Basisの計算アルゴリズムの実装を計算機代数システムSageMath上で行い、計算実験を通じてアルゴリズムの有効性を確認した。得られた理論は未完成ではあるものの、その有効性は実証されたので、7月にポーランドのワルシャワで開催された国際会議ACA2023(Application of Computer Mathematics2023)において発表した。さらに、これらの成果を論文として執筆し、JSSAC(Japan Society for Symbolic and Algebraic Computation)の学会誌に投稿した。 昨年度はさらに、いくつか仮説を提唱した。これらがすべて証明されれば、理論が完成されることになるが、成り立たないことが判明した場合は、来年度以降に理論の修正を行なう必要性が生じることになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論的な成果が得られたが、論文として出版されるにはいたっていない。 また、実装したプロトタイププログラムは効率性をあまり考慮していないので、さらにチューンナップしたものを作成し、計算実験をおこない、われわれの理論のさらなる有効性を確認する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
CGSの計算アルゴリズムをさらに改良し、効率的なParametric Border Basisの計算アルゴリズムを構築するための理論を整備する。 これらの成果をベースとして、SageMath上でのParametric Border Basisの計算アルゴリズムの実装を改良する。
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