研究課題/領域番号 |
21K03384
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
西田 祐介 東京工業大学, 理学院, 准教授 (80704288)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | フェッシュバッハ共鳴 / 光ピンセット / 光格子 / 低次元系 / 1次元ボース気体 / 1次元フェルミ気体 / 双対性 / 体積粘性 / 熱伝導率 / ワイル半金属 / カイラル磁気効果 / カイラル磁気不安定性 / フェルミ気体 / 輸送係数 / 久保公式 / ボルツマン方程式 / シュウィンガー機構 / 完全計数統計 / エフィモフ効果 / ボルン・オッペンハイマー近似 / 有効理論 / 隠れた対称性 / 強相関量子流体 |
研究開始時の研究の概要 |
対称性に基づいて構築された有効理論は、強相関量子多体系に創発する多彩な物性現象を解明するための常套手段であり、これまで数多くの成功を収めてきたが、対称性から定まらない自由度が残る場合には、その予言能力が損なわれることになる。この問題を克服するため、本研究は、隠れた対称性を活用することで予言能力のより高い有効理論を構築すること、その有効理論を強相関量子流体に適用することで新奇の物性現象を予言すること、を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は国内外の実験グループと共同で、主に以下の2つの研究を実施した。 まず、英国バーミンガム大学の実験グループと協力し、光ピンセットで捕捉した単一のカリウム原子をルビジウム原子から成る量子気体中に埋め込んだ系を実現した。カリウム原子とルビジウム原子の間のs波散乱長を外部磁場によって変えながらカリウム原子の残数を測定することで、閉じ込め誘起のフェッシュバッハ共鳴を複数観測した。特に、擬1次元に閉じ込められたカリウム原子と3次元的なルビジウム原子の散乱を記述する理論を構築し実験結果と比較することで、p波のフェッシュバッハ共鳴も誘起されていることを明らかにした。s波散乱長を外部磁場によって変えることでp波の相互作用を制御できることは大変に意義深く、様々な量子不純物問題を冷却原子を用いて実現できる可能性を切り開くものである。 また、京都大学の実験グループと協力し、イッテルビウム原子を光格子に閉じ込め、各格子サイトが少数のイッテルビウム原子によって占有された系を実現した。イッテルビウム原子の基底状態と励起状態の間のs波散乱長を外部磁場によって変えながら励起エネルギーを高精度で測定することで、光格子に閉じ込めた擬0次元系における有効的な3体力と4体力の存在を定量的に明らかにした。特に、実験結果を理論的な摂動計算と比較することで、強結合領域においては両者が一致しないことを確認した。本研究で実現した系は、強結合の量子少数問題に対する様々な理論的手法を高精度でテストするための理想的な系となることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は学内業務などもあり、独自の研究を発展させられなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの研究によって得られた成果をさらに発展させるとともに、研究課題である「隠れた対称性に基づく有効理論の構築と強相関量子流体への応用」を推進し、さらには両者を融合させた研究の展開を目指す。
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