研究課題/領域番号 |
21K03387
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
守田 智 静岡大学, 工学部, 教授 (20296750)
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研究分担者 |
岡部 拓也 静岡大学, 工学部, 准教授 (10324336)
伊東 啓 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (80780692)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 複雑ネットワーク / 感染症モデル / 社会ネットワーク / 人流ネットワーク / 縮約理論 / 進化ゲーム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では,ネットワーク上のダイナミクスに応用できるような形式で隣接行列を縮約的に表現する方法を開発し,理論物理学で発展してきたネットワーク理論の応用範囲をより現実の問題を扱えるような形式に書き直すことを目指している.記述に膨大な容量を必要とする隣接行列に代わる縮約的表現によって,ネットワーク上を伝播する感染症や情報,あるいは進化ゲームにおける戦略の拡散メカニズムをより的確に理解できるようにする.研究代表者がその理論的基盤を整備し,分担者と協力して応用を開拓する.
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研究実績の概要 |
複雑なシステムをそのシステムを構成する各要素の間のつながり方に着目することで理解していくという考え方が近年勃興したネットワーク科学である.ただし,従来のネットワーク科学でよく使われてきたモデルは,リンクの重みを考慮しない単純グラフであった.特に重みが小さいとみなされるようなリンクを無視した近似により,疎なネットワークについての解析方法が発展してきたのである.しかし,社会的なネットワークを想定した場合などでは,関係性が希薄であるからといって無視してしまっては重要な知見を見逃してしまう可能性がある.そこで本研究では,そのような仮定を前提としないネットワークの理論を構築することを目的とした.具体的には,必ずしも疎ではない巨大なネットワークを粗視化し縮約されたネットワークへ変換する汎用的な手法を構築することを目指している.まずはネットワーク上の感染症モデルに注目して,ネットワークのノードとして扱われる人々をいくつかのタイプに分類することで粗視化を実現した.この場合に生じた理論計算とシミュレーション結果にズレについても詳細に検討してその成果を論文にして公表した.またネットワークのノードが表現する対象を人ではなくて地域(市区町村)とした場合のモデルについても分析し,この成果も論文として公表できた.さらに関連したいくつかの成果も論文として公表できた.感染症モデル以外のネットワーク上のゲーム理論的状況ついての研究は現在進行中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まずは,感染症モデルに関しての研究成果を Physica A, 587, 126514 (2022)に単著で掲載することができた.さらに,1本目を内容を先行研究とも比較することで厳密に精査しなした論文もPhysical Review E 106, 034318 (2022)として単著で掲載することができた.また研究分担者らと性的関係の社会ネットワーク分析の論文 PLOS ONE 17(11): e02769818 (2022) も掲載され,この研究については新聞等で広く報道された.ゲーム理論的な状況のほうは関連研究は論文 Scientific Reports 12:21084 (2022); Scientific Reports 12, 8482 (2022) になったが,本題は2023年度に持ち越しとなった.本研究の内容も含んだネットワーク科学のテキストを出版予定であるが,そちらの方も持ち越しとなったことを出版社と関係者の方々にこの場を借りてお詫びしたい.
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今後の研究の推進方策 |
これまで通り研究計画に従って研究を進めていきたい.具体的には, (1)ネットワーク上の感染症モデルにおいて再生産数全般の理論を確立すること. (2)人流ネットワークの実データに関して上記の理論を展開していくこと. (3)感染症以外の伝播現象やゲーム的な状況についてネットワーク粗視化の効果を調べること, をおこなう. また2023年度になって海外渡航も可能になってきているので,国際会議で本研究課題の成果を広く発信していく予定である.
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