研究課題/領域番号 |
21K03396
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
内田 就也 東北大学, 理学研究科, 准教授 (10344649)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 同期現象 / 協力現象 / 非平衡系 |
研究開始時の研究の概要 |
多数の振動子がリズムをそろえて同期する現象は普遍的に見られるが、本研究では他の振動子から遅れて同じテンポでリズムを刻むような振動子が多数ある状況を考える。このような状況では、同期した振動子のグループと同期していない振動子のグループが空間的に共存するキメラ状態が現れることがある。本研究では、さまざまな配置で固定された振動子や動き回る振動子において、キメラ状態の出現する条件を解析し、その時間的、空間的なパターンを、統計的な観点から特徴づける。また、流体中でレーザーにより駆動されるコロイド粒子を具体例として、実験的に検証可能なキメラ状態のモデルを構築し、新しい集団運動のパターンを予測する。
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研究成果の概要 |
本研究課題では、非局所的に結合した振動子の一次元多体系において、フラストレーションが生む新奇な同期現象の解明を行なった。第1に、相互作用の位相遅れを連続的に変化させたところ、逆位相に近い範囲において、2つの吸収状態を持つ有向浸透現象と類似した臨界現象および新奇な時空パターンを発見した。第2に、振動子を格子上でランダムウォークさせ、位相遅れと移動頻度をともに変化させたところ、位相遅れが同位相に近い場合は移動によって集団同期が促進され、逆位相に近い場合は同期が阻害されることを示した。第3に、多数の振動子集団が結合した系において、同期状態と非同期状態が相互に遷移する新たな準安定状態を見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多数の振動子が同期する現象において、振動子が同期した領域と非同期領域が共存するキメラ状態は、脳活動を司るニューロンの集団発火との関連で注目されている。キメラ状態は振動子間の結合の位相遅れが同位相と逆位相の中間にある場合に生じるが、本研究では位相遅れに加え、振動子のランダムな運動(つなぎ替え)や固有振動数の不均一性を導入することにより、複数の新たな同期パターンを見出した。脳の階層構造を模した振動子集団で見出された同期と非同期が時間的に共存する現象は、脳活動の特徴と類似する。また、ランダムな運動によって集団同期が促進されるメカニズムを解明したが、これはロボットなど移動デバイスの同期現象と関連する。
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