研究課題/領域番号 |
21K03398
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
出口 哲生 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (70227544)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 量子ソリトン / ダークソリトン / リープ・リニガー模型 / 有限サイズスケーリング / リーブ・リニガー模型 / グロス・ピタエフスキー方程式 / 可解量子系 / 非平衡ダイナミクス / ギャップソリトン |
研究開始時の研究の概要 |
1次元ボース気体や量子ハイゼンベルグ鎖において、ソリトン2個の状態やマグノン束縛状態など、密度プロファイルに複数個の局所励起が含まれるような量子状態を導く。局所励起を準粒子と解釈し、その緩和や散乱を長時間追跡する。準周期的ソリトンをリーマン面で表す代数幾何的方法を導入し、周期的境界条件下の量子状態の密度プロファイルを近似的に表現して解析する。いわゆるギャップソリトンの物理的応用に繋がると期待される。束縛解などベーテ方程式の数値解を厳密に求め、可解量子スピン鎖の局在状態を導く。この結果を用いて量子スピン鎖の時間発展を解析的および数値的に厳密に調べ、実験で観測された密度プロファイルの再現を試みる。
|
研究実績の概要 |
相互作用するボースアインシュタイン凝縮体(BEC)における巨視的波動関数の静的および動的な振る舞いは、特に長距離あるいは長波長の振る舞いに関して、グロス・ピタエフスキー(GP)方程式によって良く記述されると考えられている。1次元系のGP方程式において相互作用定数が正で斥力的な場合、ダークソリトン解が出現する。 リープ・リニガー(LL)模型は一次元ボース気体の理論模型である。可解であり、相互作用定数が斥力的な場合、ベーテ仮設を用いて全ての固有状態が導かれる。このLL模型の第二量子化模型では、対応する量子ハイゼンベルグ方程式はGP方程式と一致する。このため、量子場の古典極限を仮定すると、GP方程式のソリトン解に対応するLL模型の量子状態の存在が期待される。興味深いことに、1ホール励起状態の和の状態から、密度プロファイルでダークソリトンが導かれることが示された。 昨年度の研究で、古典極限と量子状態の対応が自明でないことを示す例が具体的に見出された。一昨年度に、位相プロファイルの巻き数(winding number)がゼロでないダークソリトンを導く量子状態が構築された。昨年度、衝突する2ソリトンの量子状態を構築し、その位相プロファイルを導いた。すると、量子系の時間発展の中で巻き数は変化し、保存されなかった。古典系の時間発展では、位相の巻き数は保存されるが、量子系ではそうとは限らない。 BECの凝縮率の有限サイズスケーリングに関する研究を論文として発表することが出来た。有限サイズのLL模型の量子状態においてダークソリトンが出現したのは、BECの凝縮率が1に近いためであると考えられる。1次元系で相互作用定数がゼロでない場合、凝縮率はサイズ無限の極限でゼロになる。このため、サイズを大きくすると同時に相互作用定数を小さくすることによって、量子状態でダークソリトンの出現が可能となる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
量子2ソリトンとボース・アインシュタイン凝縮における有限サイズ・スケーリングに関する論文を出版することが出来たことは顕著な成果と言える。しかし、量子スピン鎖に関する研究の論文作成はまだ完了していない。この点はやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
1次元異方的量子ハイゼンベルグ模型(スピン1/2量子XXZ鎖)に関する研究はまだ論文が完成していない。これを完了させることが課題である。
|