研究課題/領域番号 |
21K03401
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
戸塚 圭介 京都大学, 基礎物理学研究所, 准教授 (80291079)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | トポロジカル相 / 量子開放系 / 近藤格子模型 / SPT相 / 開放量子多体系 / 開放量子系 / 量子相転移 / トポロジー |
研究開始時の研究の概要 |
上記3つの主要課題について、3年間の研究を行う。課題1に関しては、これまで関連するプロジェクトに関して共同研究を続けてきたフランスのグループと、適宜相手研究機関に滞在しながら引き続き最初の2年間程度を目処に共同研究を行う。課題2についても、やはり最初の2年間程度を目処に共同研究を行い令和5年度までにおよその完成を見る。また、令和3年度から課題3についても予備的研究を開始する。令和4年度後半から、課題3の研究に本格的に着手する。
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研究実績の概要 |
伝導電子系と格子上に並んだ局在スピン系が交換相互作用(近藤結合)によって結合する「近藤格子模型」は、長年にわたり重い電子系の物理を理解するためのミニマルモデルであるが、同時に、近藤結合がない時でも局在スピン系自体が非自明な量子多体基底状態にあるようなケースを考えると、強相関量子開放系における非自明相の安定性の問題としても捉えることができる。特に、局在スピン系が「対称性に護られたトポロジカル相(SPT相)」と呼ばれる物質状態にある場合は、注目する系(スピン系)が環境系としての伝導電子系と結合した時に、注目する系の非自明なトポロジカル状態がどのように環境の影響を受けるかを調べることになり、測定型量子計算のリソースの安定性の観点からも興味深い。このような動機に立ち、一次元のスピン1のハイゼンベルク模型が伝導電子系と近藤結合した模型「スピン1近藤格子模型」の研究を行った。予備的研究として、近藤結合が大きい極限の相構造を調べ、強磁性金属相が局在スピン間の相互作用の上昇と共に破壊され、絶縁体相に転移する様子を決定し、これらの結果について、二篇の論文を出版した。また、近藤結合がゼロの時にはこの系はHaldane相と呼ばれるSPT相にあるが、そこに近藤結合を入れていった時にどのようにSPT相が影響を受けるかについて、SPT相の指標となる「ストリング秩序変数」や「エンタングルメントスペクトル」を数値的に調べた。その結果、このパラメータは有限の近藤結合の値までゼロにならず、SPT相の安定性を示唆する結果が得られた。これらの結果を、リンドブラッド演算子、量子チャンネルなど量子開放系の一般的枠組みから理解することを試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の蔓延による海外渡航の自粛のため、予定していた国内外の研究者との共同研究が計画通りに進行しなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症も落ち着きをみせ、海外の研究者との交流も徐々に平常に戻りつつあるので、令和5年度以降は、予定していた国際共同研究も行える ようになると考えられる。また、本課題とも関係して、今春現在フランスCNRSとの国際共同研究プロジェクトIRPが採択され、活発な共同研究が推進できると思われる。
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