研究課題/領域番号 |
21K03405
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高根 美武 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 教授 (40254388)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 非エルミート系 / トポロジカル物質 / バルク境界対応 / キタエフ鎖模型 / 量子スピンホール絶縁体 / チャーン絶縁体 / トポロジカル絶縁体 |
研究開始時の研究の概要 |
端や表面を有する境界形状のトポロジカル絶縁体は,エネルギーギャップ内に境界に局在したトポロジカル状態をもつ.トポロジカル状態は系のトポロジカルな性質によって守られており,擾乱に対して安定である.この特異な状態の有無は,周期境界条件を課した境界の無いバルク形状で定義されたトポロジカル数が支配する.この顕著な性質はバルク境界対応と呼ばれる.この対応関係は通常のエルミート系において広範に成立するが,近年注目を集める非エルミートなトポロジカル系では破れてしまう.この問題を解決し,非エルミートなトポロジカル系においてバルク境界対応を成り立たせる理論的枠組みを構築する.
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研究成果の概要 |
非エルミートなトポロジカル系におけるバルク境界対応を記述する新しい枠組みを定式化した.この枠組みでは,修正周期境界条件を課した端のないバルク形状におけるトポロジカル不変量と開境界条件を課した端のある境界形状におけるトポロジカル境界状態の有無を関係付ける.修正周期境界条件とは,従来の周期境界条件を拡張したものであり,波動関数の指数関数的な増減を取り込むことができる.これを,3種類の非エルミートなトポロジカル系(純虚数ポテンシャルを含むチャーン絶縁体と量子スピンホール絶縁体,そして3種の非エルミート項を含むキタエフ鎖模型)に適用し,バルク境界対応が精密に成り立つことを示した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
トポロジカル系では,境界に局在するトポロジカル状態の有無は境界のないバルク形状において計算したトポロジカル不変量と関係付けられる.この関係(バルク境界対応)はエルミートなトポロジカル系において広く成立するが,非エルミート系ではしばしば破れてしまう.また,非エルミート系に関する議論は1次元トポロジカル系に集中しており,2次元系においてバルク境界対応を精密に立証した前例は見当たらない.本研究では非エルミート系におけるバルク境界対応を記述する新しい枠組みを提案し,その有効性を立証した.特に,2次元系においてバルク境界対応が精密に成り立つことを示した結果は,先駆的な成果と言える.
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