研究課題/領域番号 |
21K03408
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2021) |
研究代表者 |
松岡 千博 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (10270266)
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研究分担者 |
西原 功修 大阪大学, レーザー科学研究所, 名誉教授 (40107131)
平出 耕一 愛媛大学, 理学部, 研究員 (50181136)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 多層界面 / 渦層 / 非線形相互作用 / 安定性 / 非線形 / 非線形解析 / 数理モデル / 数値計算 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、数理モデルを用いて、多層流中における多層界面の非線形運動を具体的に計算する。線形、弱非線形解析による理論的計算では、界面の大変形を扱うことはできない。本研究で用いる、研究代表者が開発した多層界面のための渦層モデル(多層Vortex Sheet Model)は密度成層や振幅の大きさに関わりなく長時間安定的に計算できる数理モデルであり、一般にN層(Nは2以上)・(N-1)界面の問題に対して適用可能である。 本研究では、この数理モデルを(1)3次元多層流・多層界面の問題への適用、(2)圧縮性流体への拡張、に主眼を置いて、研究を進めていく。
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研究実績の概要 |
この年度では、流体、プラズマ中に生じる密度成層を伴った多層界面の運動および安定性を、3層2界面流体におけるケルビンヘルムホルツ不安定性を例にとって理論的・数値的に調べた。1970年代後半にMooreという研究者によって、渦層界面が系内に2つ共存していると、ある初期条件の下では、2つの界面のうち片方は安定に存在するようにできる、という予測が線形理論の範囲内で計算された。渦層は不安定界面の代表的なものであるので、単一界面の場合にはいかなる初期条件をとっても、(外力をかけない限り)界面を安定化することはできない。 研究代表者は、この予測が非線形領域でどの程度正しいかを、多層界面の渦層モデルを用いた数値計算によって確かめた。その結果、2つの界面に逆向きに大きさの等しい主流(速度シアー)をかけ、さらに片方(安定になる方)の界面の初期振幅が非常に小さい場合には、上記速度シアーが大きくても片方の界面の振幅をほとんど増大しないようにできることが理論的に確かめられた。この傾向は流体密度を上側から順番に、軽い、中間、重い(LMH)とした場合に最も顕著だったが、逆の場合(上から順番に重い、中間、軽い:HML)でも線形近似が有効であるような比較的短い時間では同様の性質が見られた。後者は本来ならレーリーテーラー不安定性が起きる場合に相当し、それがある程度抑制できるかもしれないというのは興味深い発見であった。以上の結果は応用数学の専門誌(下記)に掲載された。
C. Matsuoka, Nonlinear evolution of two vortex sheets moving separately in uniform shear flows with opposite direction, Electronic Research Archive, Vol. 30, 1836-1863 (2022).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究目標はおおむね達成できている。2022年度に上梓した査読付き学術論文は招待論文であり、本来は支払わなければならないオープンアクセス料金が無料となったのは僥倖であった。本論文で行った解析で、多層界面にすると、本来は非常に不安定な渦層のような界面でも、特定の初期条件下では、安定化できることがわかった。これは、レーリーテーラー不安定性のような、流体・プラズマ物理に現れる密度不安定界面にも一定程度適用できる。この年度の研究では、どういう初期条件をとり、どのような密度比にしたときに最も安定化できるかを詳しく調べることはできなかった。次年度以降の課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
現在、研究分担者とともに、高エネルギープラズマ物理に現れるリヒトマイヤー・メシュコフ不安定性と呼ばれる界面不安定性を多層界面にした場合にどのようになるかを研究中である。これは、2022年に上梓した論文(Nonlinear evolution of two vortex sheets moving separately in uniform shear flows with opposite direction, Electronic Research Archive, Vol. 30, 1836-1863)で行った多層ケルビン・ヘルムホルツ不安定性と異なり、特定の初期値をとってやると、単一界面の場合に比べてけた外れの渦度の増大が見られた。これは上記論文で計算した界面の安定化とは真逆の結果で、多層界面は不安定性の種類によって安定化することもあれば不安定性が増大することもあるという興味深い結果を与えている。多層リヒトマイヤー・メシュコフ不安定性の結果については現在、論文をプラズマ物理の専門誌に投稿中であり、今後はさらに別の論文も上梓予定である。
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