研究課題/領域番号 |
21K03412
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
高吉 慎太郎 甲南大学, 理工学部, 准教授 (80710722)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 量子ダイナミクス / 乱れた系 / 低次元量子系 / 密度行列繰り込み群 / フロケ・エンジニアリング |
研究開始時の研究の概要 |
固体物性において、不純物の存在は局在などの興味深い現象を引き起こす。レーザー照射による系の状態制御は近年の主要テーマの一つであるが、本研究では不純物の存在を機能的に活用することで動的外場によって物性の操作性・制御性を高める方法を明らかにする。初めに乱れた相互作用系の動的物理量を計算する手法を確立し、フロケ・エンジニアリングを組み合わせることで、レーザー照射による有効的相互作用の変調を定量的に計算する。さらにトポロジカル物質やキタエフ磁性体中に不純物が存在するときに発現するマヨラナ粒子などの不純物束縛状態を、光によって移動・交換する方法を探索し、量子計算への応用に役立つ技術を確立する。
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研究成果の概要 |
乱れのある相互作用フェルミオン系における動的伝導度スペクトルを、密度行列繰り込み群を用いた数値手法およびボソン化有効場の理論を利用して計算した。スペクトルはピーク構造を示し、乱れが強くなるほどピーク周波数は高く、ピーク高さは低くなった。高周波領域においては、スペクトルはべき乗則にしたがって減衰し、べきの値の相互作用依存性は有効場の理論から予言される。相互作用が小さいときには数値計算の結果と場の理論の予言は良い一致を示すが、相互作用が大きくなるにつれ、理論からのずれが大きくなった。低周波領域では、動的伝導度スペクトルが相互作用の強さによらない振る舞いを示すことが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
相互作用のあるフェルミオン系は、物性物理学における代表的な研究対象である。本研究により、この系に対して乱れが与える影響が明らかになったことにより、実験において測定に用いた試料が高純度ではなく、不純物を含むものであった場合に、測定結果を解析する際、純粋なバルク資料としての性質と不純物に由来する効果を区別できるようになる。また乱れのある系とその有効場の理論が明らかになったことにより、格子模型を場の量子論で記述するという基礎物理学の研究において汎用性の高い手法について、新たな知見が得られた。さらに不純物濃度を調節する技術が確立すれば、それによって物質の性質を制御することが可能になると期待される。
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