研究課題/領域番号 |
21K03416
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
齋藤 晴雄 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60235059)
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研究分担者 |
澁谷 憲悟 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (20415425)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 陽電子 / ポジトロニウム / 原子散乱 / 運動量移行断面積 / スピン軌道相互作用 / 計数率 / デジタイザ / 逆ラプラス変換 / 原子衝突 / スピン転換反応 |
研究開始時の研究の概要 |
医療や工学の幅広い分野で、EGSやGEANT4のような放射線輸送コードが広く用いられている。しかし、低エネルギー領域のシミュレーションは精度が低いため、エネルギーに閾値を設けて計算を打ち切るのが一般的である。低エネルギー領域の相互作用を理解する上で、PsとHeの相互作用は理論と実験の両面からアプローチ可能な一つの極限として好適である。そこで我々は、Ps-He衝突のパラメータ(運動量移行断面積、散乱長、有効到達距離)を精度よく決定して理論計算のベンチマークを確立し、提唱されている数々の理論モデルから、最も精確に現象の本質を再現するモデルを決定する。
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研究成果の概要 |
ポジトロニウム(Ps)は陽電子と電子からなる純レプトン系の水素様原子である。本研究の目的は、Ps-He散乱における衝突パラメータ(運動量移行断面積)を高い精度で測定することである。 実験においては、Ps-Xe-Heの三元系の測定を行った。Ps-Xe散乱におけるPsのスピン転換反応の特性を利用し、Psの運動エネルギーの時間発展を得た。長時間の測定によりデータを蓄積し、詳細に解析した。解析の結果、Ps-He衝突の運動量移行断面積として仮の値(12.3±1.3)×10^(-16)cm^(2)が得られた。用いた方法により高い精度が得られることが分かり、本研究課題の方法の有用性が実証された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで議論が収束していなかったPs-He散乱の理論計算のベンチマークの確立に寄与する。同時に、応用として以下2つが挙げられる。一つはPsのボーズアインシュタイン凝縮によるガンマ線レーザー開発への寄与である。この実現にはPsの冷却が本質的であるが、Ps-He衝突による冷却レートがこの研究で明らかになる。二つ目は、医療におけるPET(陽電子断層撮像法)の改良にPsの基本的パラメターが貢献することが期待される。
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