研究課題/領域番号 |
21K03420
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
秋元 郁子 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (00314055)
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研究分担者 |
中 暢子 京都大学, 理学研究科, 准教授 (10292830)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | バレーキャリア / バレーダイナミクス / IV族半導体 / サイクロトロン共鳴 / バレー自由度 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、半導体物性物理学分野では電荷に代わるスピンやバレーなどの量子自由度が新たに注目され、省電力化をめざした次世代デバイスが開発されつつある。特に、室温でも堅牢な量子状態を用いるバレートロ二クス研究をさらに加速させるため、バレー分極の制御方法の確立が強く求められている。本研究では、我々が近年有用性を示してきたナノ秒時間分解サイクロトロン共鳴法を拡張し、洗練された光励起法によりバレー分極キャリアを注入したうえで、外場(電場)駆動および温度擾乱によるバレー分極のダイナミクスを明らかにし、その制御方法の基礎を確立する。
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研究実績の概要 |
近年、半導体物性物理学分野では電荷に代わるスピンやバレーなどの量子自由度が新たに注目され、省電力化をめざした次世代デバイスが開発されつつある。特に、室温でも堅牢な量子状態を用いるバレートロ二クス研究をさらに加速させるため、バレー分極の制御方法の確立が強く求められている。本研究では、我々が近年有用性を示してきたナノ秒時間分解サイクロトロン共鳴法(TRCR法)を拡張し、光励起法によりバレー分極キャリアを注入したうえで、外場(電場)駆動および温度擾乱によるバレー分極のダイナミクスを明らかにし、その制御方法の基礎を確立することを目的とする。 本研究では、高純度シリコン結晶試料(3 × 2 × 0.5 mm3)を用い、結晶の大きな面に垂直に電場印加するようにITO石英ガラス基板電極で挟み、マイクロ波の共振器内でDC電場を印加して、ITO電極越しに光照射しTRCR法を実施する。2021年度は、(011)面の大きな結晶を用いて電場下でのTRCR法によるバレーダイナミクスの研究をスタートし信号を取得するに至ったが、[001]軸方向に磁場を印加する配置では十分なサイクロトロンスペクトルの分解能を得られず、明瞭な解析はできなかった。そこで、2022年度は、(001)面を大きな面として持つ結晶を用いて、スペクトル分解の良い[011]軸へ磁場印加する配置を確立して、TRCR法による測定を行った。その結果、遅延時間ごとのスペクトル解析を電場印加に対して比較することが容易になり、電場印加により、異なるバレー(e1,e2)間の散乱が促進されること、散乱の促進によりキャリアの減衰が早くなること、励起波長に依存するバレー分極があることなどが判明しつつある。さらに、解析を進めることにより、より詳細なバレー分極の擾乱を明らかにすることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
液体ヘリウムの供給量不足および価格の高騰により、再液化循環の無い和歌山大学では液体ヘリウムの購入が難しくなったため、実験の場を同等の装置を保有する分子科学研究所の機器センターへ移し、施設利用により実験を行うことにした。ESR装置、レーザーシステムを変更することになったが、狙い通りの計測が可能であることを確かめ、その改善もできている。実験の機会は限られるものの、計画通りの測定はできており、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の分子科学研究所機器センター施設利用(マテリアル先端リサーチインフラ)に採択されているので、分子科学研究所へ必要機材を持ち込み実験することができる。電場下でのTRCR測定において、励起波長依存性と偏光依存性を含めて、より詳細なバレー分極の擾乱を明らかにする実験を進める。
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