研究課題/領域番号 |
21K03422
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
藪 博之 立命館大学, 理工学部, 教授 (60202371)
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研究分担者 |
宮川 貴彦 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70439925)
仲野 英司 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 准教授 (70582477)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 原子気体 / 双極子相互作用 / ボース・アインシュタイン凝縮 / フェルミ縮退 / 超固体 / 原子気体ポーラロン / ポーラロン / 量子多体系 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、二種類の異なる量子統計性をもつ原子から成る極低温ボース・フェルミ(BF) 混合原子気体において、ボース原子が双極子相互作用をもつ場合に高密度において現れる新奇な相である超固体相の相構造とダイナミックスを量子多体理論の方法を用いて理論的に調べる。具体的には、双極子ボース原子を含むBF混合気体での超固体相の集団振動モードのダイナミックスを理論的に解明し、超固体がボース・アインシュタイン状態のようなコヒーレンスを持つ状態かどうかを明らかにする。また、フェルミ粒子の周りのボース粒子が励起したポーラロン状態が存在するが、この状態の超固体の出現による変化を理論的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、双極子ボース原子を含むボース・フェルミ(BF)混合気体において超固体相が現れる場合に理論的研究を行ない、超固体のダイナミックスが現 れるかを明らかにし、実験結果を解明するとともに実験に対して新たな提言を行うことである。研究計画に即して今年度の研究実績について述べる: 1)双極子ボース原子を含むBF混合気体での超固体相のダイナミックス: 昨年度に開発した、双極子ボース気体に対して、平均場近似であるs波相互作用と双極子相互作用、量子ゆらぎを局所密度近似で取り入れるリー-フアン-ヤン項を取り入れた拡張グロス-ピタエフスキ(GP)方程式の虚時間緩和法による計算法を用いて、超固体状態の時間発展を数値的に計算し、二重井戸ポテンシャル中でのジョセフソン振動を求めた。 2)1)の研究の応用として、密度-密度相関関数による双極子フェルミ原子と非双極子フェルミ原子の混合気体系の集団モードにおける系の不安定化の研究結果をまとめ、国内学会および国際学会で発表を行った。国際学会の結果は会議紀要に論文(査読付き)として出版が決定している。 3) 超固体ボース・フェルミ混合気体におけるポーラロンの性質: 双極子ボース気体に拡張した双極子ポーラロンをシェヴィの方法を用いて強相関の場合に拡張した理論の結果をまとめ、招待講演として発表した。また、双極子ポーラロン間の相互作用ポテンシャルの計算を行い、ポテンシャルの解析的な標識を得た。また、ポーラロンに関係した研究結果を国内学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の進捗状況は次のとおりである。 1)双極子ボース原子を含むBF混合気体での超固体相のダイナミックス: 研究実績において述べたように、双極子ボース原子における超個体相については超固体状態の時間発展を求める計算が本年度の研究により可能となっており、集団運動としてジョセフソン振動を数値的に再現している。次の段階としてポテンシャルのパラメータを変えてジョセフソン振動の変化を定量的に調べることが必要である。フェルミ粒子を導入してBF系の計算に進むことは前年度のBF系の計算からやや遅れており、今年度に進めるべき課題である。 2)前年度に計算がほぼ完了していた、双極子フェルミ原子と非双極子フェルミ原子の混合気体系における密度-密度相関関数を用いた集団モードの研究は、前年度に中止となった国際会議(LT29, International Conference on LOW TEMPERATURE PHYSICS)における発表を予定通り行った。現在、結果をまとめた論文の執筆段階にある。 3)超固体ボース・フェルミ混合気体におけるポーラロンの性質: 双極子ボース気体に拡張した双極子ポーラロンの計算に関しては、ポーラロン間の相互作用の計算が終了した段階であり、フェルミ粒子の導入および数値計算の確立が次の段階となる。総じて、コロナ対応における代表者と分担者における研究連絡のおくれや教育業務の負荷の増大が研究のおくれの原因である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、本年度に引き続き、1)混合フェルミ気体における密度相関と集団振動モード、2)双極子フェルミ気体を含む混合フェルミ気体の密度相関と集団振動モ ード、3)ボース粒子が励起したポーラロン状態、について発展的研究を行い、学会における発表とともに、研究成果を論文として出版する予定である。具体的には、課題1)においてはジョセフソン振動の数値計算の系統的実施を行い、結果をまとめ国内学会等で発表を行うとともに、ボソン・フェルミオン系への拡張を行う。課題2)においては、現在執筆中の論文をまとめ出版する。課題3)においては前年度に求められたポーラロン間の相互作用を用いて、ポーラロンの束縛状態を求め、結果をまとめ発表する。また、前年度までのコロナ禍による研究のおくれをなくすために、研究者と分担者によるミーティングを行い、直接的な議論を集中的に行うことを予定している。
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