研究課題/領域番号 |
21K03425
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉澤 雅幸 東北大学, 理学研究科, 教授 (60183993)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 超高速分光 / 明・暗準位 / 光合成初期過程 / 時間分解発光分光 / カーボンナノチューブ / コヒーレント振動 / 2光子励起 / 時間分解発光分光、 |
研究開始時の研究の概要 |
光合成初期過程では光アンテナと呼ばれる色素蛋白複合体で光捕集作用が行われている。しかし、多くの準位が関与しておりその詳細はいまだ明らかではない。超高速ダイナミクスの研究には主に時間分解吸収分光が用いられるが、明準位(光学許容)と暗準位(光学禁制)の区別は困難である。本研究では、超高速発光分光および非線形吸収分光を通常の過渡吸収分光と併用することで明準位と暗準位を明確に区別する。これにより、多準位が関与する光合成初期過程のダイナミクスを明らかにし、その効率向上の指針を得る。さらに、カーボンナノチューブの明・暗励起子などへの応用も行う。
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研究成果の概要 |
光合成初期過程の光捕集作用では明準位だけでなく暗準位も大きな役割を果たしている。本研究では、マルチ超高速分光法を開発して明準位と暗準位を区別して観測することを目的とした。 和周波発生用いた発光分光装置を開発し近赤外領域までの観測を行い、光合成系で高効率のドナー準位として期待されるフコキサンチンの明準位(ICT状態)の観測に成功した。吸収分光との比較により、明準位と暗準位のダイナミクスと高効率エネルギー移動の仕組みを明らかにした。 カーボンナノチューブへの応用を行ったが、発光信号は極めて弱かった。そこで、コヒーレント振動から明準位と暗準位を区別する試みを行い、有効な手法となることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
光合成初期過程は明・暗準位を含む複雑な系で起きており明準位からは高効率のエネルギー移動が期待されている。しかし、一般的な超高速分光法ではその明・暗状態の区別が困難なため、その詳細は明らかではなかった。本研究では同一の励起光で吸収分光と発光分光を行う分光装置を開発し明・暗準位を区別して観測することに成功した。これにより、光合成初期過程において明状態から高効率のエネルギー移動が起きていることを確かめた。また、コヒーレント振動の信号から励起状態が明状態か暗状態かの情報を得る可能性を示した。本研究の成果により超高速現象における明・暗状態を観測する新たな手法を提供することができた。
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