研究課題/領域番号 |
21K03434
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
|
研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
瀬川 耕司 京都産業大学, 理学部, 教授 (20371297)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | トポロジカル絶縁体 / スパッタリング法 / 薄膜 / 輸送特性 |
研究開始時の研究の概要 |
トポロジカル絶縁体は、その表面に特殊な金属状態があらわれることが知られている。薄膜試料においてはその物性への表面の寄与が顕著になるため、表面状態の研究には薄膜試料の作製が重要である。トポロジカル物質の研究はここ数年でディラック半金属・ワイル半金属などに広がり、バンド構造に特徴をもつトポロジカル物質とまとめてとらえられているが、トポロジカル絶縁体そのものは物質系が非常に限られている。そこで本研究では、未だに薄膜化されていないタリウム系トポロジカル絶縁体を中心とするトポロジカル物質の薄膜化を行い、未知の物性の観測とその体系化を目指す。
|
研究実績の概要 |
タリウム系トポロジカル絶縁体 TlSbTe2 の薄膜をスパッタリング法で作製するため、高周波電源の並列化および成長時に油拡散ポンプに切り替える装置を構築してきたが、その成膜の最適化と輸送特性の測定を行った。室温スパッタ後にアニールする方式では Si 111 単結晶基板上に成膜した場合、30 nm 程度を超えると膜の質の低下が観測された。その範囲内で条件を最適化した膜で輸送特性を測定したが、移動度はバルクより小さいものにとどまり、また量子振動等も観測されなかった。トポロジカル絶縁体としての特徴を観測することは結果としてできていない。 次に、TlBiSe2 の薄膜用ターゲットを自作し、薄膜作製を開始した。これまでの結果から予測して、あらかじめ Tl と Bi の比をずらしてターゲットを作製した。はじめに、TlSbTe2 と同様に、室温でスパッタ成膜を行った後に200-300度程度でアニールする方法を試したがX線のピークが非常に弱い膜しか得られなかった。そこで通常の方法である成膜時の基板温度を上げる方法を試したところ、X線のピークがかなり鋭く観測された。この膜について、ICP-AES で組成分析を行ったところ、Biが過剰であることがわかったのでその結果を受けて新しいターゲットを作製し、新たな成膜に取り組んでいるところである。 また、TlBiSe2 で部分的にうまくいったこの方法を改めて TlSbTe2 に適用したが、やはり2ステップ法より良い膜はできないことが確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TlSbTe2 薄膜の品質向上はならなかったが、TlBiSe2 の薄膜作製は見通しが立ってきたので、S ドープも含めた薄膜作製が視野に入ってきた。
|
今後の研究の推進方策 |
TlBiSe2 薄膜の作製の見通しが立ってきたのでそれを推進し、さらに S ドープにまで踏み込んで輸送特性の測定を行う。
|