研究課題/領域番号 |
21K03440
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堀田 知佐 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50372909)
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研究分担者 |
浅野 建一 大阪大学, 全学教育推進機構, 教授 (10379274)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 量子多体問題 / 強相関 / スピン軌道相互作用 / ラシュバ型 / 非整合磁気秩序 / スピン密度波 / 相関効果 / SSD / ハバード模型 / 平均場近似 / ギャップ / 非整合秩序 / 電子相関 / 数値計算手法 |
研究開始時の研究の概要 |
最初の2年間は、主に1次元、2次元のハバード模型で、既存の数値計算や厳密解がある系をとりあげ、現在開発中の手法についてそのバリエーションを試し、どのような場合に対して相関が抑えられるか、相関を直接取り扱った場合の結果とどの程度、定量的な合致を見るかなどを検証し、安価で高効率な手法を整備する。 その後、解の知られていない半導体励起子相、スピン軌道モット絶縁相、量子電荷グラス相などに適用し、平均場近似ではわからなかったような物性、真の電子相関効果が重要となるような物性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
前年度に開発したサイン二乗変形平均場理論(SSDMF)をラシュバ型のスピン軌道相互作用のある2次元ハバード模型に適用し、その基底状態の相図の全貌を明らかにした。その際、他の3つの手法と比較し結果の定量的な信頼性についても確立した。1つ目の手法として、ハバード相互作用Uが小さな領域ではスピン軌道相互作用を含めたRPA近似を行い、スピン分裂したバンドに特有のスピンペアネスティング不安定性という現象によって、非整合周期の磁気秩序相への転移が起こることを明らかにした。特にスピン軌道相互作用が比較的弱い領域で得られた磁気秩序相は、SSDMFにおけるSDWI,SDWII相とよく一致する。一方、スピン軌道相互作用が大きい場合は、フェルミ面のネスティングではなく、ブリルアンゾーンの対称点に生じる4つのディラックコーンがペアで同じ波数(π, π)でネスト(重なり合うこと)する現象によって、ボルテックス相などが生じることを明らかにした。2つ目の手法として強結合極限でのスピン系に対するLuttinger-Tisza法を適用し、零点エネルギーも加味した磁気相の安定性を検証した。3つ目の手法はDMETという、相関を完全に取り入れ、エンタングルメントを最適化する比較的新しい方法論である。この方法で、過去の研究では整合磁気相とされていたSDWI相が安定かどうかについて検証を行った。これらの手法はすべてSSDMFの結果と一致し、SSDMFで磁気秩序が生じるクーロン相互作用Uの大きさも、相関を取り入れた多体計算の場合と定量的に整合することが確認された。 この手法を三角格子に対しても適用し、スカーミオン相に関する結果も得られている。 今後、参照となるダイナミクスの計算法も並行して開発している。子イジング模型においてグラウバーダイナミクス的な構成を取り入れ、量子臨界点近傍における動的臨界指数を再現する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初期に開発したSSDMFの計算の質に関する検証を一通り終え、満足する結果を得た。 また新しい系と物理の問題に適用し、実際これまでの手法で得られなかったトポロジカルなチャーン数を有限にもち、金属状態を保ったままの遍歴磁性の非整合秩序相を得ることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
本手法を他の手法と組み合わせてダイナミクスや有限温度の計算への発展を狙う。
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