研究課題/領域番号 |
21K03449
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
小林 理気 琉球大学, 理学部, 講師 (40614673)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 強相関電子系 / 4f電子系 / 近藤効果 / 幾何学的フラストレーション / spin singlet / Kondo singlet / 中性子非弾性散乱 / スピンダイマー / シャストリーサザーランド格子 / シャストリーサザーランド四面体格子 / スピン液体 / フェルミ液体 / スピンギャップ / 磁気構造解析 / スピングラス / Valence Bond Solid / 4f電子 / Ce金属間化合物 / フラストレート近藤化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではまず1年目に中性子非弾性散乱実験という微視的な実験手法を用いてCe5Si3とCe5Ga2Geのスピンダイマー(SD)基底状態のギャップサイズの決定や,そのギャップの磁場や波数空間依存性などについて明らかにする.続いて2年目・3年目に圧力下電気抵抗測定と圧力下磁化・磁化率測定をこれらの試料に対して行い,SD形成温度の圧力依存性,重い電子状態や非フェルミ液体の有無,量子相転移やクロスオーバーの有無などについて明らかにする.
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研究成果の概要 |
本研究では「遍歴電子または局在と遍歴の中間に位置するような電子に対して,幾何学的フラストレーションはどのような影響を与えるのか」という学術的問いに答える事を最終目標とし,Ce5Si3とCe5Ga2Geの微視的実験を実施した.実験の結果,これらの物質の4f電子の一部は近藤効果によって遍歴的性質を持ち,それが0.5meVのスピンギャップと分散関係を示す未知の基底状態を形成している事が明らかになった.この結果は近藤効果によって遍歴的な性質を持ち始めた4f電子がフラストレーションによりスピン一重項でも近藤一重項でもない未知の非磁性基底状態にクロスオーバーしていく姿を初めて示したと言えるかもしれない.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では「遍歴電子または局在と遍歴の中間に位置するような電子に対して,幾何学的フラストレーションはどのような影響を与えるのか」という物性物理学者が長年追い求めていた問いに対して,Ce5Si3とCe5Ga2Geがその問いに答えることができるかもしれない有力な研究対象である事を世界で初めて示した.この問題を実験的に研究するための有力物質が今まで無かった状況において本研究の成果が示す学術的意義は大きいと言える.本研究をきっかけに実験と理論の両方においてこの問題に対する研究が進むのではないかと期待している.
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