研究課題/領域番号 |
21K03451
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
平島 大 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (20208820)
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研究分担者 |
鈴木 勝 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (20196869)
谷口 淳子 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (70377018)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 準1次元超流動 / 位相スリップ / 朝永ラッティンジャー理論 / 気相固相相転移 / 交換相互作用 / 完全偏極 / 準1次元超流動 / 超流動 / 準1次元系 / Hexatic相 / 固体相気体相相転移 / グラファイト吸着系 / 固相気相相転移 |
研究開始時の研究の概要 |
物質を極低温まで冷却すると、常温では観測されない、量子力学に特徴的な興味深い現象が観測されることがある。超流動現象はその一例である。液体ヘリウムは極低温で超流動状態となり、どんな狭いところでも摩擦なくするすると流れていく。さらに、このヘリウムをミクロサイズの細い径の細孔に詰めたり、あるいは、グラファイト上に吸着させたりして、系の次元を変化させると、それに伴って通常とは異なる超流動状態が現れる。この研究では、実際にどのような新奇な状態が現れるかを、大規模数値シミュレーションを駆使することによって明らかにし、量子力学に従う系が示す多様性の一端を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き、細孔中ヘリウムの超流動密度の計算を継続して実行した。ヘリウム原子が細孔を充填している場合の計算はほぼ終了して、1次元的なスケーリング(朝永・ラッティンジャー理論)が実現していることが確認できた。現在は、ヘリウム原子が細孔内に吸着して薄膜を作っている場合について計算を進めている。長さが短い場合には1次元的なスケーリングからは外れているが、細孔長が長くなるにつれて、1次元的なスケーリングに近づいていく様子が得られている。細孔長が十分に長い場合の計算をさらに進め、また、密度が異なる場合の計算を実施し、スケーリングの詳細をより明らかにする計算を実行中である。 ソフトコアボース粒子系における気相固相相転移の計算の準備も進めた、自由エネルギー計算に必要なコードのチェックと予備的な計算を行い、上記の細孔中のヘリウム原子系の計算が終了次第、こちらの計算の本格的実施に取り掛かる準備を完了した。 さらに、吸着系における気相固相相転移の研究のために、予備的な計算を開始した。 また、量子系における交換効果の検証のために、少数電子系の数値計算を実施し、外部ポテンシャルを操作することによって交換相互作用の強さを変化させ、完全偏極した基底状態を得られることができることを示した。現在、より確実な結論を得るための追加計算を実施している。 多孔中のHe系の実験については、これまでのねじれ振り子や水晶振動子を用いた、時間依存する(交流的な)測定方法に加えて、直流的な測定も開始し、超流動的と思われる現象をとらえ始めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究開始から2年間(21年度、22年度)、研究代表者が、所属する大学の入試責任者となってしまったっため、十分な研究時間を確保できず、大幅に研究が遅れてしまった。23年度は、ある程度研究に集中することができ、かなり遅れを取り戻すことができた。必要な計算量がやや予想を上回る箇所があり、いまだ論文出版までたどり着くことができていない。
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今後の研究の推進方策 |
計算の基本方針、コードの開発は基本的には終了しており、現在は、計算を実行しているところである。手持ちの計算資源だけではなく、学外の利用可能な計算資源も利用して、可能な限りシミュレーションを迅速に進める。
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