研究課題/領域番号 |
21K03453
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 (2022) 東京理科大学 (2021) |
研究代表者 |
藤原 理賀 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (60722840)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 正方カゴメ格子 / フラストレーション / 量子スピン液体 / 物質探索 / 量子スピン系 / 一次元量子スピン鎖 |
研究開始時の研究の概要 |
KCu6AlBiO4(SO4)5Clは量子スピンを担うCu2+が正方カゴメ格子を形成する初の物質であり,スピン液体的な振る舞いが観測されている.本発見を契機に実施された理論研究では,スピン液晶相や未特定の量子スピン相の存在が予言されているが,実験・理論共に開拓が始まったばかりの研究領域である. 本研究ではKCu6AlBiO4(SO4)5Clのファミリー物質群を創製し,量子ビーム実験によりスピン状態を明らかにする.新奇量子スピン状態の創出および発現条件解明を,理論研究者と協力する事で達成し,「正方カゴメ格子の科学」という新領域を発展させる事が本研究の目的である.
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研究実績の概要 |
本研究では,量子スピン正方カゴメ格子反強磁性体で観測された新奇量子スピン状態の解明を目指す。KCu6AlBiO4(SO4)5Clは、量子スピンを担うCu2+が正方カゴメ格子を形成する初の物質であり、スピン液体的な振る舞いが観測されている。本発見を契機に実施された理論研究では,スピン液晶相や未特定の量子スピン相の存在が予言されているが,実験・理論共に開拓が始まったばかりの研究領域である。 KCu6AlBiO4(SO4)5Clではギャップレススピン液体の振る舞いが観測されたが、結晶構造の考察から構築された有効スピン模型を用いた理論計算の結果とは一致しない部分があり、模型が不適切である可能性を示している。そこで本研究では、既報物質KCu6AlBiO4(SO4)5Clのファミリー物質 KCu6AlSbO4(SO4)5Cl 、KACu6TeO4(SO4)5Cl (A = Mg, Cd) および新規モデル物質を創製し、そのスピン状態を系統的に研究することで、量子スピンJ1-J2-J3 正方カゴメ格子反強磁性体で実現する量子スピン状態の特定とその発現条件の解明を目指す。 当該年度は、研究代表者の所属変更のため、新たな研究環境の構築から開始した。上記ファミリー物質の合成には、石英管封入および毒物・劇物が実施可能な環境の構築が必要であり、合成開始までに時間を要した。そこで当該年度は、別の合成手法による新規モデル物質の探索に注力し、新たな正方カゴメ格子反強磁性体としてElasmochloite を見出した。現在、単一相の合成に取り組んでいる。さらにその過程で、S = 1/2ハイゼンベルグ直線鎖反強磁性体KCuPO4・H2OおよびS = 1/2ハイゼンベルグJ1-J2反強磁性鎖Cd2Cu2(PO4)2SO4・5H2Oを見出し、そのスピン状態を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の所属機関変更に伴い、新たな研究環境の構築を行ってきた。本研究では火気および毒物・劇物の取り扱いが必要なため、環境構築には時間を要し、その期間はKCu6AlSbO4(SO4)5ClおよびKACu6TeO4(SO4)5Cl (A = Mg, Cd) の合成を休止せざるを得なかった。一方で、正方カゴメ格子磁性体の探索の過程で、新規量子スピン鎖物質の合成に成功した。当該研究分野における新しい知見が得られ、その結果を論文として公開した。
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今後の研究の推進方策 |
合成に必要な環境の構築は概ね完了した。現時点で単一相の合成達成の可能性が最も高いKMgCu6TeO4(SO4)5ClとElasmochloiteに絞り、研究を進める。
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