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量子流体の渦度によるスピン流生成

研究課題

研究課題/領域番号 21K03456
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
研究機関関西学院大学

研究代表者

堤 康雅  関西学院大学, 理学部, 講師 (10631781)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワードスピン三重項超伝導体 / トポロジカル超伝導体 / スピンテクスチャー / 磁束渦糸 / マヨラナフェルミオン / 超流動ヘリウム3 / アンドレーエフ反射 / 液体ヘリウム3 / ボルツマン方程式 / スピン分極 / スピントロニクス / グラフェン / 電子流体
研究開始時の研究の概要

スピン角運動量と量子流体の渦度の結合により生成されるスピン流をボルツマン方程式に基づいた微視的な理論計算から定量的に示す。量子流体として、フェルミ液体である液体ヘリウム3とグラフェンで観測されている伝導電子の電子流体を研究対象とする。具体的には、 常流動状態にある液体ヘリウム3の核スピンによるスピン流、 超流動ヘリウム3のスピン三重項クーパー対が担う超流動スピン流、 グラフェン中の電子流体のスピン流についての理論研究を行う。

研究実績の概要

最近になって超伝導相が発見されたUTe2はスピン三重項超伝導体であることが強く示唆されており、実験・理論の両面から活発な研究が行われている。スピン三重項超伝導体はクーパー対がスピン自由度を持っているので、超伝導体に磁束渦糸として侵入した磁場がクーパー対のスピンに作用することで、クーパー対のスピンの向きが空間変調した構造が安定となる場合がある。このような空間構造はスピンテクスチャーと呼ばれ、磁束渦糸まわりにスピン流を発生させる。令和4年度までの研究では、微視的理論により安定なスピンテクスチャーが存在することを示している。
今年度の研究では、スピンテクスチャーの低エネルギー励起としてマヨラナフェルミオンが存在することを明らかにした。磁場下のUTe2では時間反転対称性が破れているが、結晶の鏡映操作と時間反転操作を組み合わせた磁気鏡映操作に対する対称性を持っているので、UTe2はトポロジカル結晶超伝導体として振る舞う。トポロジカル結晶超伝導体のトポロジカル不変量を解析することで、マヨラナフェルミオンが単一のゼロエネルギー励起として単位格子中の二つの位相欠陥に局在することを示した。この研究成果は、論文としてまとめており、学術雑誌に投稿中である。
量子流体である超流動ヘリウム3についても、液面で粒子型励起がホール型励起として反射されるアンドレーエフ反射についての研究を行った。現実的なモデルでのアンドレーエフ反射率の計算はこれまで数値計算でしか行われていなかったが、本研究では解析的な式でアンドレーエフ反射率を記述することに成功した。スピン自由度を持つ超流動ヘリウム3では、アンドレーエフ反射の際にスピン反転も起こるが、スピン反転確率も解析的に示しているので、スピン流についても見積もることができる。この成果についても論文を学術雑誌に投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初に計画していた液体ヘリウム3の常流動状態、超流動状態でのスピン流の研究は順調に進展している。
これらに加えて、当初は研究対象として考えていなかったスピン三重項超伝導体であることが強く示唆されているUTe2の研究も進展しており、論文としてもまとまっている。当初の計画にはなかった系でのスピン流生成の研究に発展しており、本研究課題が計画以上に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

UTe2でのスピンテクスチャーの提唱は、実験グループからも注目されているので、スピンテクスチャーの空間構造の多様性に注目して安定する様々な構造を明らかにする。UTe2は当初の計画には無かった研究対象ではあるが、理論・実験両面からの研究が精力的に行われており、物性の解明が急がれる対象であるので、集中した研究を行う。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] Analytical expression of Green’s function for superfluid 3He B phase with surface bound state under magnetic field2023

    • 著者名/発表者名
      堤康雅
    • 学会等名
      International Symposium on Quantum Fluids and Solids
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 超流動ヘリウム3-B相における磁場中表面束縛状態の解析計算2023

    • 著者名/発表者名
      堤康雅
    • 学会等名
      日本物理学会第78回年次大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Nuclear spintronics in liquid helium-32022

    • 著者名/発表者名
      堤康雅
    • 学会等名
      International Conference on Ultra Low Temperature Physics
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Spin textures and d-vector rotation in a triplet superconductor UTe22022

    • 著者名/発表者名
      堤康雅、町田一成
    • 学会等名
      29th International Conference on Low Temperature Physics
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] パウリ常磁性が効くスピン三重項超伝導体のスピンテクスチャーと磁化分布2022

    • 著者名/発表者名
      堤康雅、町田一成
    • 学会等名
      日本物理学会2022年秋季大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 振動により発生するヘリウム3核スピンへの有効磁場とスピン流2021

    • 著者名/発表者名
      堤康雅
    • 学会等名
      日本物理学会 2021年秋季大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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