研究課題/領域番号 |
21K03490
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
名越 篤史 国士舘大学, 理工学部, 准教授 (70750579)
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研究分担者 |
上田 康平 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 准教授 (60612166)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 細孔水 / 熱分析 / 熱測定 / トリステアリン / 相転移 / 臨界点 / 1次相転移 / 固液臨界点 / 多孔性物質 / 水 / 圧力印可 / 氷 / 超臨界状態 / 1次相転移 / 圧力印加 |
研究開始時の研究の概要 |
固体である結晶と液体は構造が大きく異なるため、連続的に状態変化する臨界状態や臨界点は存在しないと考えられている。一方で、数分子からなるミクロな系では、結晶と液体の構造の違いは目立たなくなるため、臨界状態が生じる可能性がある。本研究では、細孔直径 2.1 nm のシリカ多孔性物質に封じた氷の融解について、圧力印加温度変調熱測定により、固液臨界挙動をはじめて実験的に観測することと、そこにどのような物理的な特徴があるか、どのような機構が働いていいるかを明らかにすることを第1段階の目的とする。 次に、水以外の物質で固液臨界現象を実現する方法や実現するための条件を明らかにすることを目指す。
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研究成果の概要 |
メソポーラスシリカMCM-41細孔中の水の示す潜熱を示さない可逆な融解現象について、固液臨界現象の可能性を調査するために、高圧下温度変調示差走査熱量計を開発したが、粉末状の試料形状が原因でうまく測定できなかった。一方で、ほかに固液臨界点を示す物質を探索し、細孔直径1.9 nmのMCM-41に封じたトリステアリンが可逆な融解、つまり固液臨界現象の可能性を示すことがわかった。細孔水と共通する特徴から、転移温度付近において液体相中の分子の配置・配向が結晶に似て秩序化していることが需要であることが示唆される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
小さな水分子ですら結晶化できないような細孔直径1.9 nmのメソポーラスシリカ細孔中で、比較的巨大な分子であるトリステアリンが結晶化し、明瞭な融解ピークを示すことがわかった。細孔壁が非晶質で内部と不連続なため、これまでに知られているもっとも小さな有機物の結晶だと考えられる。脂質分子であるトリステアリンの多形の制御は、食品科学を中心として広く応用が期待される。また、今回開発した高圧下熱分析装置は、多くの物理化学・物性物理分野において有用であると考えられる。今回取り扱ったブタンジオール水溶液は、本研究テーマとは直接関係ないが、この高圧下熱分析装置によって、興味深い相挙動を示すことが分かった。
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