研究課題/領域番号 |
21K03494
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
貞包 浩一朗 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (50585148)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 臨界現象 / 相分離 / 自己組織化 / ソフトマター / 溶媒和 / 高圧力 / 中性子散乱 / ダイナミクス / 液体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではまず①どのような低分子の混合溶媒系において、圧力が相挙動に影響を与えるのか、②どのような混合溶媒系において、圧力変化に伴う臨界挙動が平均場に従うのか、を明らかにする。次に、③平均場的な臨界普遍性を示す混合溶媒系において働いていることが示唆される「長距離相互作用」の正体を明らかにする。最後に、④得られた結果を説明できる熱力学モデルを構築し、混合溶媒系やソフトマターの臨界挙動に対する圧力の影響について、熱力学の観点から理解を掘り下げる。本研究で得られる知見は、低分子混合溶液系のみならず、生体物質を含む溶液系など、幅広いソフトマター系の秩序化や相転移現象の本質を探求する上での基礎となる。
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研究実績の概要 |
本研究では、4000気圧の高圧条件下におけるソフトマター(有機溶媒を含む混合溶液系)の基礎的な物性解明を目指している。前年度に引き続き、今年度は(1)ソフトマターのナノ構造の解明のため小角中性子散乱実験(予備実験)、(2)高圧環境下における光散乱実験を行った。
(1)高圧環境下における小角中性子散乱実験(予備実験) 小角中性子散乱は、ソフトマターのナノ構造を測定する上で強力な実験手法である。2021年度より我々は、日本原子力研究開発機構の小角中性子散乱装置「SANS-U」の実験系に高圧機器を設置して高圧小角中性子散乱実験を試みてきたものの(i)高圧容器の窓材、(ii)高圧ポンプ、(iii)サンプルセルの不具合が続き、研究がうまく進まない状態にあった。2023度はまず、高圧機器のメーカー「シン・コーポレーション」に依頼し、(i)(ii)の修理・メンテナンスと(iii)の改良を行った。改良後の高圧機器にいくつかのソフトマター(有機溶媒混合溶液)を封入して動作確認を行ったところ、4000気圧の高圧環境を1時間以上安定して保ことができることを確認した。 (2)高圧環境下における小角光散乱実験(装置作成) 高圧条件下での溶液の物性(マイクロメートルスケールの構造とマイクロ秒スケールの動的挙動)を明らかにするための実験システムを、同志社大学生命医科学部(研究代表者の研究室)内に構築した。更に、構築したシステムを用いて、LCST型及びUCST型の相分離を示す水/有機溶媒混合系を測定し、温度と圧力に対する相図を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度に日本原子力研究開発機構にて小角中性子散乱実験のマシンタイムを確保しており、「高圧環境下での溶液の臨界挙動の解明」を計画していたものの、実験の直前で「施設内の地震計の故障」が判明し、マシンタイムが2024年度に延期されることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に実験ができなかった「高圧環境下での小角中性子散乱実験」を遂行し、圧力が誘起する水/有機溶媒混合系の臨界挙動を明らかにし、全ての研究計画の完結を目指す。
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