研究課題/領域番号 |
21K03500
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分14010:プラズマ科学関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐野 孝好 大阪大学, レーザー科学研究所, 准教授 (80362606)
|
研究分担者 |
千徳 靖彦 大阪大学, レーザー科学研究所, 教授 (10322653)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | ホイッスラー波 / レーザープラズマ / 磁気圏プラズマ / プラズマ粒子加速 / レーザープラズマ相互作用 / プラズマ加熱 / 波動粒子相互作用 / 慣性核融合 |
研究開始時の研究の概要 |
レーザーなどの電磁波を用いて高密度プラズマ中のイオンを高温に加熱することは、核融合研究などの実験室プラズマにおいて非常に重要かつ困難な課題である。本研究では、臨界密度のないホイッスラー波の伝播特性を利用し、新奇なイオン加熱機構を提唱する。この機構では、定在ホイッスラー波が崩壊することで、レーザーの振動周期程度の極短時間のうちに電磁波からイオンにエネルギーが直接変換される。本研究では、この革新的なイオン加熱機構の実現性を理論的に精査すると同時に、新しい核融合方式の可能性を模索する。このプラズマ加熱機構は幅広い分野の応用研究に展開できると期待している。
|
研究実績の概要 |
本研究では、臨界密度のないホイッスラー波の伝播特性を利用し、新奇なプラズマ加熱機構を提唱している。本年度は、昨年度に引き続き、定在ホイッスラー波を媒介した新しい電子加熱に関するプラズマ粒子シミュレーションの実施と、解析的な理論モデルの構築を行った。また、ホイッスラー波の伝播過程にも着目し、安定な伝播のための条件を数値シミュレーションによって導き出した。これら現象は、レーザープラズマ実験だけでなく中性子星磁気圏プラズマでも起こりうる共通した物理現象であることがわかっている。特に天体応用に関しては、高速電波バーストと呼ばれる現象への応用が期待されるため、マグネターと呼ばれる強磁場中性子星における物理パラメータでの数値シミュレーションを重点的に行った。その結果、もし中性子星表面で大振幅の電磁波(ホイッスラー波もしくはアルフベン波)が励起された場合、その電磁波が磁気圏を通過できるためのおおよその条件を導き出すことに成功した。電磁波の振幅が小さい場合、安定な伝播が長時間実現する。しかし、大振幅電磁波の場合、イオン音波を励起する減衰不安定が成長し、密度揺動が不安定成長する。その結果、電磁波の伝播は妨げられ、パルス的な電磁波しか伝播できなくなる。そのパルス長は不安定成長率の逆数と一致している。また、さらに振幅が大きくなると輻射圧によってプラズマを圧縮するだけで、プラズマ内部への侵入が全く起きなくなることも明らかになった。圧縮されたプラズマは無衝突衝撃波を形成し、イオン加速機構として働く。これらの描像は、ペアプラズマでも定性的には同様であり、宇宙プラズマでも類似の現象が起こることが示唆された。今後はこの興味深いプラズマ現象を多次元的に解析することで、さらに詳しくプラズマ加熱や加速機構の解明を展開するのが面白いと考えている。
|