研究課題/領域番号 |
21K03529
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
日影 千秋 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任准教授 (00623555)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 宇宙大規模構造 / ダークマター / ダークエネルギー / 重力レンズ / 宇宙の構造形成 |
研究開始時の研究の概要 |
一般相対性理論に基づきダークマターとダークエネルギーが宇宙のエネルギーの95%以上を占める標準宇宙モデル「ΛCDM」が確立しているが、Planck衛星の宇宙背景放射の測定による初期宇宙の観測結果と、銀河撮像・分光サーベイによる後期宇宙の観測結果を、ΛCDMに基づいて整合的に説明することが困難になりつつある。そこですばるハイパー・シュプリーム・カムによる最新のコズミックシア観測と銀河分光観測を組み合わせ、観測データに含まれる情報を最大限に引き出す「宇宙大規模構造のアンチエイジング法」を応用し、ΛCDMの破綻の詳細と新たな物理を探索する。
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研究実績の概要 |
標準宇宙模型の妥当性を検証するため、観測の進展の著しい銀河撮像・分光観測から精確かつ効率良く宇宙論情報を引き出すための取り組みを行なった。 すばる望遠鏡に搭載した超広視野カメラ「ハイパー・シュプリーム・カム」を使った銀河撮像計画の第2期データを使ったコズミックシア解析に向けて、さらに精密な解析を行うための研究を推進した。1つは複雑なサーベイ形状を持ったコズミックシアフィールドにおいてノイズを含むパワースペクトルの共分散の理論表式を導出し、擬似カタログによる結果と比較した。また第1期カタログを使ったパワースペクトル測定、および、宇宙論パラメター推定コードをgithubにアップロードし一般公開した。 銀河分光観測から得られる宇宙の3次元構造は、宇宙の初期揺らぎが非線形な重力成長を経て成長したものである。これまではパワースペクトルなどの2点統計量に加え、計算コストの高い3点以上の統計量を組み合わせることで、初期揺らぎと非線形重力の影響を分離していた。一方でBAO再構築法など非線形重力の影響を取り除く手法を適用することで初期揺らぎに近い情報を引き出すことができる(例:Hikage, Koyama, Takahashi 2021)。再構築前後のパワースペクトルの情報を組み合わせることで、2点統計量だけでも初期揺らぎと非線形重力の影響を切り分けることができ、宇宙論情報をより効率的に引き出すことができる。本手法をN体シミュレーションに基づくダークマターハローカタログに適用した結果、従来の2点と3点統計量を組み合わせた解析と同レベルの宇宙論情報が引き出せることがわかった。本論文はNature Astronomyに投稿中である。
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