研究課題/領域番号 |
21K03537
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
宗 博人 愛媛大学, 理学部, 研究員 (20196992)
|
研究分担者 |
加藤 光裕 東京大学, 大学院総合文化研究科, 名誉教授 (80185876)
坂本 眞人 神戸大学, 理学研究科, 理学研究科研究員 (30183817)
加堂 大輔 同志社大学, 理工学部, 准教授 (90447219)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 格子場の理論 / ライプニッツ則 / 確率過程量子化 / 超対称性 / 代数的な性質 |
研究開始時の研究の概要 |
究極的な統一理論の実現において、超対称性理論は欠かせない。その超対称性理論を格子上で構築し、計算機内で統一理論の超対称性の性質を計算する。実際には2次元時空のミニ空間での計算である。 まず巡回ライプニッツ則の理解をさらに進め(多フレーバー拡張や多体積への拡張及び高次元化など)、この規則を持った格子場の理論を使って超対称性を定式化し、高次元精密計算が得意なテンソルネットワークの方法で実際に数値計算を実行する。
|
研究実績の概要 |
2023年度の研究において、主に以下の二つの研究結果を得た。 (1)二次元を含む巡回ライプニッツ則(高次元CLR)の格子上の局所的な実現は難しいことがわかりつつあるが、これは意外な結果であった。というのは、一次元での巡回ライプニッツ則(1DCLR)を局所的に実現できることは我々によって具体的に示されており、その1DCLRを直積的に構成すれば高次元CLRが実現できると当初思われたからである。しかし、数学の世界で一変数関数論と多変数関数論とは本質的に違うことが知られているが、今回の1DCLRと高次元CLRの問題はそれと類似していると思われており、詳細はこれからの研究によるものである。 (2)確率過程量子化での隠された超対称性に、1DCLRの応用があることがわかり、その一次的な結果を研究会及び日本物理学会で発表した。この結果は、Parisi-Wuによる「D次元場の理論におけるn点関数を、ランジュバン方程式を十分な長さの架空時間で解いた結果で再現すると」いう定理に対して、十分な長さの有限仮想離散時間ではあるが、その離散時間のステップ間隔は有限で正確に結果を得る方法を与えるものである。これは有限ステップ間隔の効果をコンパクトな形にまとめたもので、例として簡単な模型(一変数定積分)を摂動及び数値計算で再現したものである。その1DLRを離散化に使った結果は、予想通りに統計誤差内で仮想時間ステップ間隔に依存しない事が分かった。1DCLRの代わりに中点処方に対応する離散化の方法も実行したが、平均値は確かに有限ステップ間隔に依存しないがその誤差は1DCLRよりも多めに出ることも分かった。さらに、連続理論でのParisi-Wuの定理を再証明する手がかりもつかんだ。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要でも述べたが、当初の目論見の2次元巡回ライプニッツ則(CLR)の格子上での局所的な実現を使った超対称性を部分的に尊重しながらの2次元Wess-Zumino模型の格子上の次元は簡単には実現が難しそうである。その理由は、格子上の局所性には複素関数の正則性が関わってくるが、数学的には一変数複素関数論と多変数複素関数論は本質的に大きく違い、それと関連するように1次元のCLRの局所的な実現と高次元のCLRの局所的な実現は本質的な違いがある。そのために、2次元も含む高次元でのCLRの具体的な表現は、1次元の場合とは違い見つけるのが難しくなった為、研究遂行が遅れている。 しかし、2次元も含めて、D次元の場の理論の確率過程量子化には隠れた超対称性を含むので、その方針で、離散化した仮想時間にCLRを活用して超対称性との関連を研究している。
|
今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」や「現在までの進捗状況」でも述べた通り、以下の二つの方針で推進する。 (1)高次元巡回ライプニッツ則の(不可能性も含めた)実現の仕方や性質を理解する。 (2)確率過程量子化での離散仮想時間形式に、巡回ライプニッツ則(特に隠された超対称性に関連して)が応用できることが分かり、他の形式よりも精度の高い数値計算ができることがわかってきたので、この方向でより高次元理論、ゲージ理論、Wess-Zumino模型などの応用に研究を進める。
|