研究課題/領域番号 |
21K03538
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
奥村 健一 岩手医科大学, 教養教育センター, 准教授 (40403935)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 超対称性 / 電弱対称性の破れ / 階層性問題 / ヒッグス粒子 / ベクトルクォーク / W', Z' / ナチュラルネス / LHC / ベクトル型クォーク / W' / Z' / 超対称性の破れ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では今後エネルギーフロンティアで探索される新しいベクトルボゾンやベクターライククォークを含んだ超対称性模型を構築してその現象論を研究する。LHC Run I, IIの結果により問題となっている超対称標準模型の微調整問題を回避できる模型拡張の可能性として、クイバー超対称標準模型に注目して研究を行う。超対称標準模型のゲージ対称性を二重にし、またベクターライクな第三世代を導入する事でゲージ相互作用と湯川相互作用を超対称性の破れから隔離する可能性を調べる。また他にもこうした物理を背景に持った新しい超対称模型を構築し、LHCや次世代加速器における現象論を研究する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、数TeVから10TeVの領域に物理に基づいた自然な超対称性模型の構築し、その現象論的解析を行うことである。本年度は昨年度に引き続きquiver supersymmetric standard modelの研究を進めた。昨年度までに双基本表現場のポテンシャルやヒッグス場の有効ポテンシャルの計算を行い、必要な真空の存在を確認、電弱対称性の破れの微調整の度合いの評価を行った。これにより当該模型により量子補正を含めても既存の模型よりも大幅な微調整の緩和が可能であることを明らかにした。この成果についてThe 25th International Conference From the Planck Scale to the Electroweak Scale (PLANCK2023)で発表を行った。研究面では昨年に引き続き、当該模型において観測されているヒッグス粒子の質量を再現できるか否かを確認するために有効ポテンシャルの2回微分とヒッグス粒子の質量の数値計算を継続した。数値計算の信頼性を確認するために模型の超対称極限において予想される結果が再現されるかどうか確認を行ったが、一致が得られず、計算コード、解析式など様々な側面から原因の特定を行なった。ケーラーポテンシャルへの追加項の必要性、超対称性理論における自発的に対称性が破れた有効ポテンシャルの繰り込み手法、ゲージ固定法やゴーストの寄与などについていくつかの誤解やミスを発見したがヒッグス質量に関して超対称極限での予想値との不一致の原因の特定に至っていない。ヒッグス質量は本研究において重要な現象論的予言であり、現在もこの不一致の原因を特定するために試行錯誤を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
個人的な事情として申請時には予想されていなかった家族の病気による介護、不幸とその事後処理のため研究に割く時間を十分にとれなかった。一方で研究面においては解析計算について計算量の評価が甘く、手計算の範囲を超えて計算を続けてしまった。本来代数計算ソフトで対処すべきところだが目的とする計算を行うには既存アプリケーションの精査や研究が必要であり、導入のための敷居が高くて本格的な導入に至らなかった。また代表者一人で研究を進めていることもあって計算上の概念的な間違いに気づくのに予想以上に時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
1ヶ月程度を目処にヒッグス質量の計算を完了させ、これまでにすでに得られている成果を合わせて9月までに論文にまとめて発表する。本研究の成果について国際会議、国内研究会などで発表を行って関連研究者と議論を行い、本研究をもとにした新たな共同研究に繋げる。
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