研究課題/領域番号 |
21K03542
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
長谷部 一気 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (60435469)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 高次元量子時空 / ランダウ模型 / 非可換ゲージ理論 / 量子情報幾何 / ブロッホ球面 / 高次元非可換幾何 / 高次元ランダウ模型 / 非可換ゲージ群のモノポール / アティア=シンガーの指数定理 / 高次元トポロジカル絶縁体 / 量子時空 / トポロジカル相 / 高次元場の理論 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、量子ホール系の物理を一般化した「対称性に保護されたトポロジカル相」のアイデアは素粒子論に持ち込まれ、量子異常やAPS指数定理の再解釈と新たな定式化、弦理論(M理論)におけるhigher form symmetryといった発展が著しい。この新たな「対称性に保護されたトポロジカル相」のアイデアを適用し、等方的な量子時空の数理の導出を行う。具体的な模型を通した素粒子理論、弦理論における高次元のトポロジカル相の物理の解明を行う。
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研究実績の概要 |
昨年度構築した4次元の量子時空(4次元非可換球面)に対応する行列幾何を更に拡張した。具体的には1.高いランダウ準位で実現している量子幾何、2.量子情報幾何のブロッホ球面の高次元への拡張の研究、である。1から述べる。行列幾何はランダウ模型の最低エネルギー準位で出現することは知られていた。その事実を逆に利用し準位射影によりランダウ準位から量子幾何を構築するというアイデアに基づき高いランダウ準位における高次元の量子幾何を構築した。本内容は数年前にも自身の研究で部分的に解析しており[arXiv:2002.05010]、量子的な入れ子構造を有するものであることが判明していた。今回は更にそれを精密化し詳しく調べた結果となっている。南部括弧による量子幾何のこれまで知られていなかった新たな構造を有するという興味深い結果が得られた。その新たな量子幾何の行列模型での役割について解析を行っており現在、論文を執筆中である。2について述べる。非可換球面は一番簡単な場合については量子情報におけるブロッホ球面と同一である。そのため高次元の非可換球面は、自然にブロッホ球面の高次元への拡張を実現する模型となっている。そのアイデアに基づき高次元ブロッホ球面として高次元非可換球面を見た場合の物理的構造、例えばベリー位相やエンタングルメントエントロピー、についての研究を行った。本研究成果はキュービットの多成分版であるキューディットや最近の合成次元における高次元物性や人工ゲージ場と密接に関係しており、将来的に重要な意義をもつと考えている。本研究成果についても論文執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は本研究計画の量子幾何を量子力学的にどのように実現するかという観点に基づき、高いランダウ準位における量子幾何の精密な解析を行った(研究実績概要の1参照)。弦理論の行列理論における新たな解であることを見出すなど着実に成果が出ていると考えている。またBerezin-Toeplitz 量子化との関連性についても調べ本研究手法はそれを特殊な場合として含むことを議論した。これらは当初の計画通りであり順調に進捗していると言える。また量子情報幾何への応用なども研究を広げることが出来た(研究実績概要の2参照)。その成果は量子情報と一見関係のない量子幾何を結びつけるものとなっている。その意味で研究は当初の計画以上に進展している面もある。一方で本年度中には論文完成までは辿り着くことが出来なかった。そのため全体としては区分(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究により高次元非可換球面における行列幾何の数理の研究を大きく進めることが出来た。まずはその内容を論文として早急にまとめ出版することに注力する。その後はその数理の物理的応用、すなわちトポロジカル相へ適用し研究することを計画している。特に自身の論文[arXiv:2112.03038]においてオイラー数に関する4次元の量子ホール相の実現を初めて指摘した。その内容を人工次元物質系といった系に適用し、高次元トポロジカル相の現実の物理系における実現の研究を考えている。また球面に限らずより一般の多様体への行列幾何への応用を計画している。更に最近は非線形物理学をトポロジカル相に取り込む研究も現れており本研究に非線形効果を入れた拡張についても考えている。
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