研究課題/領域番号 |
21K03559
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
平松 尚志 立教大学, 理学部, 助教 (50456175)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ドメインウォール / 宇宙マイクロ波背景放射 / 背景重力波 / 修正重力理論 / 複屈折 / 宇宙紐 / モノポール / 宇宙論 / 数値宇宙論 / 宇宙論的位相欠陥 / 宇宙再加熱機構 |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙誕生の直後は様々な場が存在しており、その非線形効果によって背景重力波が生成されます。これを詳細に観測することで、電磁波では届かない極初期宇宙を探索できます。本研究では、将来の背景重力波観測に備えて、数値シミュレーションを基に極初期宇宙の超高エネルギー物理と背景重力波の理論的な研究を行います。特に、宇宙再加熱機構、真空の相転移に伴って生成される宇宙論的位相欠陥、重力理論の検証を研究の3つの柱として設定し、研究代表者自身が開発した場の理論的シミュレーションコード Freja と CMB ボルツマンソルバー CMB2nd を駆使して、数値宇宙論的な立場から研究に取り組みます。
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研究実績の概要 |
2022年度の初めは、前年度末にまとまりつつあった縮退高階微分スカラー・テンソル理論、および、テンソル2自由度理論の観測制限に関する論文を執筆し、両論文とも出版されました。さらに、共著によるレビュー論文の執筆も行いました(査読中)。その後、予定通り、高次のゲージ理論の自発的対称性の破れから生まれる宇宙論的位相欠陥である、テクスチャの進化を追うための場の理論的シミュレーションコードの開発を行いました。ひとまずは SU(2) テクスチャのコードを作成し、O(4) テクスチャについては式のまとめまで行いました。
この開発の過程で、場の理論的シミュレーションコードを用いた新たな研究を二つ創出しました。一つは、JHEP 02 (2020) 058, JHEP 09 (2020) 054 では 2 種類の異なる性質を示す宇宙紐が生まれ、それぞれが絡み合うことで複雑なネットワーク構造を作り出すことを示しました。今回は、そのとき無視した Josephson 結合項を考慮することで、それぞれの宇宙紐の張力の強弱の関係から、一方の宇宙紐がドメインウォールのように振る舞うことを見出しました。このモデルをアクシオンに適用すると、ドメインウォール問題を解決できる可能性があります。
もう一つの研究は、ドメインウォールによる複屈折に関する研究です。CMB の観測データから複屈折の存在が示唆されていますが、これをドメインウォールから説明する試みです。double-well ポテンシャルを持つ実スカラー場のシミュレーションを行って異時刻相関関数を計算し、これを複屈折角度のパワースペクトルにするのと同時に、ドメインウォール由来の温度揺らぎの角度パワースペクトルと背景重力波のスペクトルを計算しました。これにより、CMB の観測と背景重力波の観測を組み合わせてドメインウォール由来の複屈折に制限を与えることができます。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
場の理論的シミュレーションコードの開発も概ね佳境に入りました。申請当初の予定ではドメインウォールと複屈折に関する研究は想定していませんでしたが、これまでの研究の蓄積により滞り無く進めることができました。この研究によって、本研究の課題であるテクスチャの研究に対しても CMB 観測と結びつけることが可能となり、本研究の質の向上に大きく役立ったものと考えています。現在、3本の論文を執筆中で近く公開できる予定ですが、この点を含めて本研究は概ね順調に進展していると考えています。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、場の理論的シミュレーションコードの開発と、それを用いたテクスチャを始めとする宇宙論的位相欠陥の研究を行います。また、新たな方向性として、SU(2) Yang-Mills 理論の高スピン表現における自発的対称性の破れを考えます。SU(2) テクスチャは、SU(2) の基本表現にあるスカラー場の自発的対称性の破れに伴って出現するものですが、高次の表現ではどのような場の配位が実現され、基本表現の場合と観測的に区別が可能かどうかを議論します。さらに、O(4) テクスチャの実装も同時に進めていき、テクスチャやテクスチャに近い構造を持った場の配位の多様性を検討していきます。 場の理論的シミュレーションコードの開発に加えて、CMB 観測と背景重力波観測の両方を想定し、テクスチャを始めとする位相欠陥の存在可能性を議論するための環境整備を行います。具体的には、本基盤研究で開発したマルコフ連鎖モンテカルロシミュレーションコードを用いるパラメータ推定方法に加え、機械学習の概念を取り入れたパラメータ推定方法を考えていきます。 半導体価格の高騰と円安の影響で、当初予定していたワークステーションの購入が遅れていますが、予定の性能を抑えた上で今年度中に購入を予定しています。また、前年度と同じく、コードの本格運用には、京都大学基礎物理学研究所のスーパーコンピュータ Yukawa-21 を用いて研究を進めていくことを想定しており、場の理論的シミュレーションコードを分散並列環境下でも運用できるよう改良を加えていく予定です。
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