研究実績の概要 |
1993年にFriedman, Shleichi, Wittが証明した「位相検閲定理」は、4次元の漸近的に平坦な時空では、ブラックホールの外部領域は自明なトポロジーしか許されず、穴やハンドルのような非自明な構造が存在しないことを示している。しかし、この定理は5次元以上の漸近平坦なブラックホール時空では、非自明な構造を禁止していないため、高次元時空では非自明なトポロジーを持つブラックホールの解が存在する可能性がある。これは、想定以上に多くの未発見のブラックホール解が存在することを示唆している。論文「A Capped Black Hole in Five Dimensions, R. Suzuki, S. Tomizawa, to be published in Physical Review D(Letter)」では、5次元最小超重力理論で、定常かつ漸近平坦で、ブラックホールの位相が球面でありながら、外部領域が非自明な位相を持つ非BPSブラックホールの正則解を世界で初めて構成した。従来知られているCvetic-Youmのブラックホール解と我々が求めた解の存在は、球形ブラックホールの一意性の破れを示している。また、論文「Solution Generation of a Capped Black Hole, R. Suzuki, S. Tomizawa, to be published in Physical Review D」や「New construction of a charged dipole black ring by the Harrison transformation, R. Suzuki, S. Tomizawa, Physical Review D 109, 084020 (2024)」では、五次元最小超重力理論でブラックレンズ解やブラックリング解を構成した。
|