研究課題/領域番号 |
21K03565
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
新井 真人 山形大学, 理学部, 教授 (60633625)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ソリトン / ブレーンワールド模型 / 大統一理論 / ゲージ場の局在 / 4次元有効理論 / 渦糸解 / ドメインウォール解 |
研究開始時の研究の概要 |
我々の住んでいる世界が空間3次元(ブレーン)に存在すると考え、それが5次元以上の時空間に埋め込まれているとするブレーンワールド模型は、標準模型を超える物理模型として 盛んに研究が行われている。しかし、この模型ではブレーンの存在や標準模型の粒子のブレーンへの局在が仮定されており、なぜそのようになるのかという問いに対しては答えられていない。この問題は、ソリトンを用いることで解決することができる。本研究では、ブレーンの存在と標準模型の粒子の局在を実現するブレーンワールド模型をソリトンを用いて構築し、構築した模型の枠組みでフェルミオンの質量階層性や世代間混合、世代の数も説明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、ソリトンを用いたブレーンワールド模型を構築することを目的としている。特に(A)標準模型が局在する5次元模型の構築、(B)5次元SU(5)大統一理論の構築、(C)6次元SU(5)大統一理論の構築を目標としているが、(C)に関しては2021年度に構築を完了した。2022年度は特に(B)について研究を進め、ドメインウォールに局在するような5次元SU(5)大統一理論を構築した。この模型においては、研究目的の一つであったdoublet-triplet splitting問題の解を与えることに成功した。その問題の解を与える模型として、(1)適切なポテンシャル項を与える方法と(2)ヒッグス場の運動項の係数をスカラー場の関数とする方法を提唱した。(1)においては、masslessのヒッグス場を与えるためにはパラメータの微調整が必要な一方、(2)においては微調整が必要ないことが示された。現在は、この模型の4次元有効理論を計算している。有効理論の計算のためにはゲージ場の余剰次元方向の波動関数を理解する必要があるが、これまではゲージ場のソリトンへの局在の理解が十分に得られていなかったため、波動関数がわかっていなかった。本研究では、ゲージ場の局在機構としてOhta-Sakaiらの提唱した機構を用いており、それにより余剰次元方向の波動関数を得ることができるようになった。これによってゲージ相互作用を含む物質場、ヒッグス場の有効理論、ゲージ場の有効理論を計算することが可能になり、実際に本研究で得られている。完全な4次元有効理論を得るには、湯川結合項の有効理論を計算する必要があり、現在その計算を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で述べた通り、現在5次元SU(5)大統一理論の4次元有効理論の計算、特に湯川結合項の有効理論の計算を行っている。この有効理論の計算においては、5次元大統一理論の湯川結合から標準模型の湯川結合の値を実現できるかを調べている。その解析では、標準模型の湯川結合の値をくりこみ郡で大統一理論のスケールまで走らせ、その値を5次元側のパラメータで説明できるか検討しているが、そのためにはパラメータ調整しながら余剰次元方向の波動関数の積分を行う必要があり、その解析に時間を要している。この解析が終われば、プロジェクトの(B)は完了する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
プロジェクト(B)での残る解析である4次元有効理論の解析を2023年度前半までに終わらせ、本プロジェクトを完了させる予定である。同時に、プロジェクト(A)の標準模型が局在する5次元模型の構築を行い、2023年度中に完了をさせる計画である。(A)については模型の基本形はできており、模型の構築に困難はないが、余剰次元方向の波動関数の積分を行い、4次元有効理論として得られる湯川結合定数を実現するパラメータを探査するのに時間を要する可能性はある。一方で、プロジェクト(B)で類似の解析は行なっており、それに倣えば、解析は問題なくできるものと考えている。
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