研究課題/領域番号 |
21K03570
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
伊藤 克司 東京工業大学, 理学院, 教授 (60221769)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 超対称性 / 可積分模型 / ODE/IM対応 / wall-crossing現象 / 可積分系 / ODE /IM対応 / wall-crossing / 量子周期 / リサージェンス / 量子可積分系 / Seiberg-Witten理論 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの摂動論的アプローチでの解析が困難であった強結合超対称ゲージ理論, ゲージ重力対応, 量子力学系を調べる新しい 研究方法として, 量子周期に着目する。 本研究では常微分方程式と量子可積分模型の対応(ODE/IM対応)を用いて, 量子周期の非摂動的な構造を明らかにする。特にゲージ理論の強結合スケール極限 で実現される超共形場理論 (Argyres-Douglas 理論) の量子周期と量子可積分系の対応を明らかにすることにより, 強結合領域における超対称ゲージ理論のダイナミクスを理解する。
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研究実績の概要 |
本研究ではこれまでの摂動論的アプローチでの解析が困難であった強結合領域における超対称ゲージ理論, ゲージ重力対応, 量子力学系を調べる新しい 研究方法として, 量子周期に着目する。 特に常微分方程式と量子可積分模型の対応(ODE/IM対応)を用いて, 量子周期の非摂動的な構造や可積分構造を明らかにする。さらにゲージ理論の強結合領域における繰り込み群の固定点で実現される超共形場理論 (Argyres-Douglas理論)の量子周期と量子可積分系の対応を明らかにすることにより, 強結合領域における超対称 ゲージ理論のダイナミクスを理解することを目的としている。 本年度の研究では, ODE/IM対応の新しい対応の例を探求するため、これまでODE側の対象として研究されてきたアフィンLie代数に基づくアフィン戸田場方程式に付随する線形微分方程式と量子可積分模型の対応を拡張し, アフィンリー超代数に付随する線形問題を考える。これは超対称性を持つ可積分模型に対応すると期待される。その結果, N=1超対称アフィン戸田場方程式に付随する線形問題と量子可積分模型の新しい対応を発見した。その中にはこれまで知られていたN=1超対称sine-Gordon模型等の超対称可積分模型も含まれており, その自然な拡張を与えていることがわかった。また, これまでのODE/IM対応で知られているポテンシャルが縮退する際に対応する可積分模型の対称性が拡大される現象に対し、別の観点からの理解を提供した。またこれまでに得られたODE/IM対応の研究成果を解説として日本物理学会誌に発表した。さらに量子周期とODE/IM対応に関する総説を現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高階常微分方程式の厳密WKB解析とTBA方程式の具体的な解析に基づく理解は大きく進展している。また超対称性を持つ可積分模型への拡張は予想外の進展であり、今後TBA方程式による可積分模型の対称性の拡大現象の研究に繋げることができると期待される。またこの研究で, 一般の線型問題のWKB解析の手法の発展が必要になり、研究の新しい方向性が見出された。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方向として, アファイン戸田場方程式に付随する1階線形微分方程式系の厳密WKB解析と量子周期の可積分性の研究がある。これまでの研究によりWKB周期の展開係数と可積分模型の保存量が密接に関係していることが予想されるに至った。扱う微分方程式系はこれまで扱ってきた常微分方程式の拡張になっており、最近の共形場理論のT-Tbar変形の研究の観点からも様々な応用が期待される。現状では、一般のアファインLie代数場合に適用できるようなWKB周期の計算法が確立する段階であり、特にLie代数の階数が低い場合はこれまでの結果を再現することを確認している。この結果を現在論文としてまとめている最中である。
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