研究課題/領域番号 |
21K03571
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
柿崎 充 富山大学, 学術研究部理学系, 准教授 (90612622)
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研究分担者 |
朴 銀鏡 富山大学, 学術研究部教育研究推進系, 講師 (20595897)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 素粒子論 / 宇宙論 / ヒッグス粒子 / 暗黒物質 / 余剰次元 / インフレーション / ヒッグスセクター / 新物理理論 / 初期宇宙 |
研究開始時の研究の概要 |
2012年にヒッグス粒子が発見されたものの、ヒッグス粒子の個数や性質は未だ不明である。また、暗黒物質が宇宙に存在することが明らかになったものの、暗黒物質の正体も未だ不明である。本研究では、ヒッグス粒子の物理と暗黒物質の物理を融合し、理論的予言と実験データとを比較することにより、素粒子物理学の標準理論を超えた新物理理論、及び初期宇宙の進化の様子を解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、ヒッグスセクターの物理と暗黒物質の物理を組み合わせることで、素粒子物理学の標準理論を超えた新しい物理理論の可能性を絞ることを目指した現象論的研究である。ヒッグスセクターと暗黒物質の現象論の観点から、種々の素粒子モデルの解析、及び新しい素粒子モデルの構築と検証方法の提案を行っている。 当該年度は、ヒッグスセクターが拡張されたモデルとして、超対称性理論や擬南部ゴールドストンモデルの低エネルギー有効理論として顕現するタドポールモデルに着目して研究を行った。これまで無視されていた量子補正の効果を取り入れてヒッグスポテンシャルの形状、及びヒッグス粒子の自己3点結合の値を求め、高輝度大型ハドロン衝突型加速器、国際リニアコライダー等の将来加速器実験で得られる実験データと比較した検証可能性について調べた。 また、ヒッグス物理の観点からクォークフレーバーが変わる現象に関する研究を行った。ヒッグス2重項が2個あるモデルにおいては一般に実験値を大きく上回るクォークフレーバーが変わるイベントが予言される問題がある。これに対し、余剰次元空間における場の局在化の機構を用いて、クォーク場とヒッグス場の波動関数の重なり具合を適切に調整することで、クォークフレーバーが変わる現象を十分抑制できることを示し、ソフトに破れた対称性を付加して抑制する機構との現象論的差異について調べた。これらの研究成果について論文執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タドポールモデルにおいてこれまで無視されていた量子補正の効果を含めてヒッグスポテンシャルを計算し、ヒッグス粒子の自己3点結合の値を求めることができた。また、余剰次元モデルの枠組みで場の局在化の機構を用いて、ヒッグスセクターに起因するフレーバーを破る過程を十分抑制する新しい物理モデルを提案できた。このモデルは従来のソフトに破れた対称性を付加するモデルと異なる有効理論になっていることを示した。これらの研究成果について論文執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは拡張ヒッグスモデルを主に加速器実験のデータに基づいて分類してきたが、今後は初期宇宙の電弱相転移が1次の場合に予言される背景重力波の観測データも用いた複合的な分類を進める。この際、これまで無視されることの多かった天体からの重力波からのノイズの効果も含めて評価していきたい。また、これらの拡張ヒッグスモデルに暗黒物質候補粒子が加わったときの暗黒物質の残存量や検出率等を調べ、真の物理理論に迫っていく。研究を円滑に進めるため数値計算ツールの開発も行っていきたい。
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