現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、一般相対性理論におけるブラックホールの性質に関する理論的な基礎研究(Takuya Katagiri, Masashi Kimura, Hiroyuki Nakano, Kazuyuki Omukai, Phys. Rev. D 107, 124030 (2023))をまず行い、解析手法は異なるがその延長線上で一般相対性理論の検証において問題となる周辺環境の影響について(Takuya Katagiri, Hiroyuki Nakano, Kazuyuki Omukai, Phys. Rev. D 108, 084049 (2023))として研究成果を出版した。後者の研究もまた重力波観測と直結するものではないが、重力波データ解析に必要不可欠な理論重力波波形の構築の際の要素の1つとなる。 リングダウン重力波の信号雑音強度比は、現在の重力波望遠鏡においてはまだ十分に大きいとは言えず、統計誤差により一般相対性理論の検証が邪魔されている。このことから、一般相対性理論との相違点を明らかにしやすい比較的大きな信号雑音強度比が期待される理論重力波波形であるエコー重力波に注目することは有用である。これまでの観測データを用いて、その波形に対する検証を(Nami Uchikata, Tatsuya Narikawa, Hiroyuki Nakano, Norichika Sago, Hideyuki Tagoshi, Takahiro Tanaka, Phys. Rev. D 108, 104040 (2023))で行うことができた。 また、正誤表を(James Healy, Carlos O Lousto, Hiroyuki Nakano, Yosef Zlochower, Class. Quantum Grav. 40, 249502 (2023))として出版した。
|