研究課題/領域番号 |
21K03589
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
長谷川 庸司 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (70324225)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 高エネルギー物理学実験 / 加速器実験 / トリガー / 機械学習 / FPGA / 長寿命粒子 / ミューオントリガー / 素粒子物理学実験 |
研究開始時の研究の概要 |
素粒子物理学における標準理論を超える新しい物理の兆候は未だ見えない。その兆候の一つと期待される長寿命の粒子を発見するには、長寿命粒子がミュー粒子に崩壊した事象を捕らえるトリガーシステムが重要である。従来のトリガーシステムでは長寿命粒子に対する検出効率が低いため、新たに導入されるミュー粒子検出器とトリガー論理回路に実装可能なトリガーシステムを機械学習を利用して開発し、実際の実験装置に実装する。長寿命の新粒子に対する検出効率が改善されることで、標準理論を超える新しい物理に対し、穴のない探索網を作ることに寄与する。
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研究実績の概要 |
LHC-ATLAS実験における陽子陽子衝突で発生するミュー粒子をミュー粒子トリガー検出器を用いて通過位置を検出し,その情報を用いて事象選択を行うトリガーアルゴリズムの開発を行う。従来のトリガーアルゴリズムでは選択することができない事象,特に,標準模型を超える物理に現れる,陽子陽子衝突点から離れた位置で崩壊する長寿命粒子(Long lived particle; LLP)から生成したミュー粒子を含む事象に対するトリガー効率の向上を目的としている。 ATLAS実験の従来のミュー粒子トリガーアルゴリズムをLLPを検出できるように拡張した場合,LLPの検出効率が10倍以上向上したが,高輝度LHCでの実験におけるトリガーレートを推測したところ,トリガーレートに要求される条件を満足できないことを確認した。 この結果をふまえ,Convolutional Neural Network(CNN)やGraph Neural Network(GNN)をベースとした機械学習モデルを用いたミュー粒子トリガーの開発を行った。同じ機械学習モデルを,CPU,GPU,FPGA上で動作させることが可能であり,それぞれのテクノロジーでのトリガー性能の評価だけでなく、動作時間や消費電力など,実用に際して考慮すべき性能の評価も行った。 機械学習モデルの開発は,ATLAS実験のシミュレーションデータ及び実データを用い,CPU上で行った。CPU上で開発したモデルをNVIDIA社製GPUを搭載、または、Xilinx社製FPGAを搭載したアクセラレータ上で動作させ,性能評価を行った。FPGA搭載アクセラレータへの実装にはXilinx社が提供している機械学習用フレームワークであるVitis AIを用いた。Vitis AIはCNNに対応しているため、CNNをベースにした機械学習モデルを実装して、動作確認および性能評価を行った。
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