研究課題/領域番号 |
21K03593
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
伊藤 領介 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (90193531)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 新物理探索 / ディープニューラルネット / 並列処理 / 素粒子実験 / 統合解析 / ディープニューラルネットワーク / 高次トリガー / データ解析 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
3年間の研究の予定であり、初年度はディープニューラルネットの解析フレームワークへの実装とテスト、次年度はHLT に用いるための並列化と計算資源の動的管理の実装を行う。最終年度はディープニューラルネットの学習の後、実験データを入力してWilson Coefficient を決定し、新物理モデルの同定を行う。
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研究実績の概要 |
種々の実験の結果を統合解析し、新物理理論モデルの物理定数を精密に決定することにより、新物理の存在の探索を行うのが本研究の目的である。統合解析の手法としてディープニューラルネットの使用を前提としたが、実験の多方面にわたる詳細なデータを入力するためには、通常の計算機では計算能力が不足していた。そこでBelle II実験で使用されている高次トリガー(HLT)を利用することを考えた。高次トリガーは大量のデータをリアルタイムで処理する必要があるため、高いグラニュラリティの並列処理を行うフレームワークが実装されている。このフレームワークの上でニューラルネットを動作させれば、新物理モデルに多岐にわたるデータを入力し、新物理定数を精密も決定するのに必要な計算能力が得られると考えた。 本年度は前年にひきつづき、HLTのフレームワークを拡張してディープニューラルネットのエンジンであるTensorFlowをフレームワークに落とし込む研究を続けた。フレームワーに、並列処理を行う多数のプロセスのうちに一つが問題をおこして停止してしまっても、それを自動的に復旧するメカニズムを実装することに成功した。これにより安定にディープニューラルネットを高速に動作させることができるようになった。この結果をComputing in High Energy Physics 2023国際会議で発表した。さらに査読論文にもまとめ、出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ディープニューラルネットのエンジンであるTensorFlowをHLTのフレームワークを用いて並列化することにより高速化を試みているが、現在の方法の並列化では処理の速い部分と遅い部分が同じように並列化されるため、全体の実行速度が処理の遅い部分で決まってしまい、HLTの全計算能力を有効に活用できていない。この問題の解決のためにTensorFlowの動作解析を行っているが、その理解に時間がかかっている。ニューラルネットの学習のために大量のデータを投入し処理を行わせるが、それを並列化する過程において、どのような場合の処理に時間がかかるのかの解析が進んでいない。この解析の進め方が現在の研究課題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
TensorFlowの実装の一部では、GPUを用いた並列化がなされているものがある。そこでこの手法を研究することで、本研究の並列化のアルゴリズムを改良したいと考えている。またさらに将来的にはGPUと本研究の並列処理の両方を同時に使用できるようなフレームワークを開発したい。これによりより広範囲かつ詳細な実験データを同時にニューラルネットで扱えるようにし、新物理の探索を進めたい。
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