研究課題/領域番号 |
21K03610
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
永田 竜 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 招聘職員 (00571209)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 重力レンズ / 宇宙マイクロ波背景放射 / データ解析 / 偏光 / 系統誤差 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、マイクロ波背景輻射の偏光観測データを用いた重力レンズポテンシャル全天地図作成の研究を行う。天球上の異なる領域を観測する複数の観測計画を想定した疑似データ群から、重力レンズポテンシャルの再構築シミュレーションを行い、その再現精度を調査する。偏光地図群を統合的に解析し、それらに付随する系統誤差が重力レンズポテンシャルの再構築において果たす役割を明らかにする。 本研究の成果によって、重力レンズポテンシャル全天地図作成に必要な実験精度を適切に評価することが可能となり、今後の観測計画の立案に寄与すると期待される。
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研究実績の概要 |
マイクロ波背景輻射(CMB)偏光の空間的な分布のパターンを分析することで得られる情報は、幾つもの時代の宇宙を明らかにすることができる強力な手掛かりである。CMB 偏光は、宇宙の密度構造による光路の屈折(重力レンズ効果)を受けることで、その像が変調される。結果として偏光地図に発生する統計の非一様性を援用することで、光路上の質量分布の推定が可能となる。現在、複数の観測計画によって CMB 偏光地図の重力レンズ効果の測定が進められている。本研究の目標は重力レンズポテンシャル全天地図作成のための実験的な枠組みを確立することである。 2021年度には必要なソフトウェア環境の構築を完了しており、数値シミュレーションを遂行する体制が整っている。2022年度には標本収集を開始し初期標本による先行解析までを行っている。2023年度には、検討対象であった全ての較正誤差について標本収集を完了することができた。レンズポテンシャルの再構築からレンズ雑音の除去解析(delensing)まで、取得した標本へ一連のレンズ解析を施し、標本群の統計評価までを行った。レンズポテンシャルの再構築精度やレンズ雑音の除去効率は、初期標本への解析から得られた示唆に準じたものであり、実際の観測において達成される較正水準の範疇であるとの評価を得た。較正誤差の一部の種目において当初見込みよりも計算時間を要したため、成果の告知活動に予定からの遅れが生じているところである。現在は、研究成果を総括して論文の形で発表するための準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題の実施計画は「擬似観測データの標本生成」、「標本の収集」、「収集した標本群の解析」の三つから構成される。計画3年目を終えた現時点で、これら全ての工程が完了済みである。標本の収集に際して、較正誤差の一部の種目で事前の予想を大幅に超える計算時間を必要とした。それについては、ソフトウェアの並列化などの対応を行い、計算時間の圧縮に取り組んだ。超過を全て吸収することにはならなかったが、当該種目についても現時点で事後解析までを含めた全ての工程を終えている。既に、研究課題の結論と言える知見を得るに至っているものの、研究活動全体としては、成果発表の予定が後ろ倒しになっている。課題期間を延長することで成果発表のための時間を確保して、これまでの研究を総括した論文の発表などを行い、本研究課題の活動予定を完遂する見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までの研究活動を通じて得られた知見を整理し、年度前半中には論文などの形で成果発表を行う予定である。論文では、重力レンズポテンシャルの全天地図作成とそれを援用したレンズ雑音の除去解析について、観測に付随する較正誤差の観点でその実現性を詳らかにする。研究自体の作業工程は完了しているため、本年度の推進に困難は認められず、特段の施策を要さず本課題に伴う活動を終えることができる見込みである。
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