研究課題/領域番号 |
21K03626
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
穂積 俊輔 滋賀大学, 教育学系, 教授 (90229203)
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研究分担者 |
岩澤 全規 松江工業高等専門学校, 情報工学科, 講師 (10650038)
似鳥 啓吾 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 技師 (80600824)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 恒星系力学 / 円盤銀河 / 銀河ウォープ構造 / N体計算 / ウォープ構造 / 扁長ハロー / 力学摩擦 |
研究開始時の研究の概要 |
円盤銀河の多くで、円盤の終端が垂直方向に折れ曲がって円盤を真横から見ると積分記号に似たウォープという構造が観測されているが、それを宇宙年齢程度維持する機構が明らかにされていない。そこで、扁長ダークマターハローの赤道面に対して傾いた銀河円盤がハローからトルクを受けてウォープが形成されるモデルに着目し、宇宙年齢程度維持できる円盤と扁長ハローの構造を、高速なN体計算コードを開発して大量粒子のシミュレーションで明らかにする。
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研究実績の概要 |
昨年度に開発した、銀河円盤とそれを取り囲むダークマターハローからなる円盤銀河をいずれの成分も自己重力系として扱うシミュレーションコードをさらに最適化することによって高速化を実現した。開発したシミュレーションコード(SCF-FDPSコード)は、銀河円盤の自己重力を計算するツリーコードとハローの自己重力とハローと銀河円盤との重力相互作用を計算するSCFコードから構成されるが、そのいずれもSIMD化によって高速化した。ツリーコードには並列化に対して極限まで最適化されたFDPSと呼ばれる数値計算ライブラリを使用した。その結果、円盤とハローからなる円盤銀河モデルに対して、開発したSCF-FDPSコードで計算した場合には、少なくともFDPSを実装したツリーコードで計算するよりも3倍以上高速化することができた。さらに、ハローの粒子数と円盤の粒子数の比が大きくなると、ツリーコードに比べてSCF-FDPSコードが最大10倍程度高速に計算できるようになった。現状では、ハローと円盤からなる円盤銀河に対して、ほぼ極限的に高速化されたシミュレーションコードとなっている。この研究成果は国内学会や国際研究会で発表するとともに、論文にまとめて国際的専門雑誌に投稿して出版された。このSCF-FDPSコードによって、円盤の外縁部の一端がその赤道面に対して垂直に上方に折れ曲がり他端が下方に折れ曲がるウォープと呼ばれる構造を大量粒子による詳細なシミュレーションでその維持メカニズムを調べる準備が整った。一方、本研究では、ラグビーボールのような形状である扁長なハロー中でその赤道面に対して傾いた円盤が形成するウォープ構造について調べることが目的となっているが、そのための円盤銀河モデルも作成できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該研究期間では、開発した計算コードの性能評価を行うことに注力したことと、そのコードが十分な性能を示したことから公開化に向けていくつかの汎用性を持たせるための改良を進めたために、ウォープ構造のテスト計算まで進めなかった。ただし、開発した計算コードは極限まで高速化を実現できたこと、および、扁長ハロー中の傾いた円盤モデルを作成できたことから、ウォープ構造のテスト計算の準備まで進めることができた。このような状況のため、進捗状況としては「やや遅れている。」とした。
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今後の研究の推進方策 |
開発したSCF-FDPSコードを用いて、扁長ハローの赤道面に対して傾いた円盤が形成するウォープ構造がどの程度維持されるのかを大量粒子のシミュレーションで調べる。まず、テスト計算として、円盤粒子数100万体、ハロー粒子数1000万体程度のモデルでシミュレーションを行う。その際、円盤のパラメータや扁長ハローのパラメータを変えたモデルで計算を行い、典型的なパラメータを抽出する。次に、その典型的パラメータで作成したモデルに対して、本計算として円盤粒子数1億体、扁長ハロー粒子数10億体でシミュレーションを行い、ウォープ構造の維持メカニズムを明らかにする。
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