研究課題/領域番号 |
21K03636
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
松本 敏雄 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 名誉教授 (60022696)
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研究分担者 |
佐野 圭 九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (70802908)
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研究期間 (年度) |
2021 – 2022
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 観測的宇宙論 / 可視・近赤外背景放射 / ブラックホール / 初代星 / 可視・近赤外宇宙背景放射 / 光・赤外天文学 / 銀河進化 |
研究開始時の研究の概要 |
可視・近赤外領域において空が既知の天体から予想されるより数倍明るいことが明らかとなり、その起源として新たな、未知の天体 Faint Compact Objects (FCOs) が提案されている。FCOはTev-γ線の観測から近傍(z<0.1)の存在と思われ、数百太陽質量のブラックホールと推定されており、宇宙の物質(バリオン)の半分を占める宇宙の主要構成要素である。本研究では可視光での背景放射の解析を近赤外領域まで広げるとともにFCOの時間変化・空間分布・スペクトルをより詳しく観測・解析し、FCOの発光機構、宇宙進化におけるその役割を明らかにすることを目指している。
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研究実績の概要 |
宇宙背景放射は銀河系外から飛来する放射の積算であり、宇宙初期から現在までの天体形成史を解明するために重要な観測量である。これまでの観測によって、可視光および近赤外線の波長域における宇宙背景放射の輝度およびゆらぎは既知の天体だけでは説明できないことが分かってきた。その起源として、本研究代表者である松本らによって暗くコンパクトな天体Faint Compact Object(FCO)が提案された。FCOは近傍の宇宙に存在し、その質量光度比からブラックホール天体またはミニクェーサーであることが示唆される。本研究では、FCOの放射機構および起源についてさらに詳細な研究を実施した。 FCOのSpectral Energy Distribution(SED)は、可視光ではパワーロー、近赤外線では超過を示す特徴がある。前者はブラックホール周辺の降着円盤によるものと考えられるが、後者の発生機構は不明であった。そこで我々は、多くのFCOが波長1.4μmで吸収を示すことに注目し、ブラックホールの伴星として赤色巨星、超巨星を想定し、その大気モデルによってSEDを説明可能であることを示した。伴星の大部分はM型星であることから、その質量は1太陽質量以下と推定された。本研究成果について論文を執筆中である。 FCOの起源について、宇宙の最初期に形成されたブラックホールが、その後に形成された星々を重力的に束縛したものがFCOであるという説を提案した。この仮説によると、FCOの伴星の質量は0.8太陽質量程度と推定される。また、ブラックホールが未知の物質であるミッシングバリオンから成ると仮定するとその質量は10-1000太陽質量になることを示した。 活動銀河核等の他のブラックホール天体では、フラックスの不規則な時間変動が観測されているため、FCOが同様の時間変動を示すかどうかはその降着円盤の構造を明らかにするために重要である。そこで、我々はハッブル宇宙望遠鏡の既存の観測画像を用いてFCO候補天体のフラックスの時間変動を調査した。その結果、複数のFCO候補天体で時間変動が示唆されるが、それを系統的に解釈するために、天体測光における不定性の評価を行っている。
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